研究課題
骨軟部悪性腫瘍の治療に臨床応用されているアクリジンオレンジを用いたアクリジンオレンジ光線力学療法が感染症の治療として利用できるかを検討した.表皮ブドウ球菌,メチシリン耐性ブドウ球菌,黄色ブドウ球菌,バンコマイシン耐性腸球菌,腸球菌,ESBL産生大腸菌,大腸菌,多剤耐性緑膿菌,緑膿菌,多剤耐性アシネトバクター,アシネトバクターの11菌種の臨床分離株を用いて実験を行った.アクリジンオレンジ濃度が10μg/㎖ではバンコマイシン耐性腸球菌,メチシリン耐性ブドウ球菌の増殖が優位に抑制された.増殖率はそれぞれ73%,22%であった.アクリジンオレンジ濃度が50μg/㎖ではアシネトバクター,バンコマイシン耐性腸球菌,腸球菌,メチシリン耐性ブドウ球菌,黄色ブドウ球菌の増殖が優位に抑制された.増殖率はそれぞれ4%,17%,18%,7%,15%であった.光線力学療法による細菌などの増殖抑制は、光感受性物質が菌内に直接取り込まれ励起されて活性酸素を放出して殺菌効果を発揮するためと言われている,アクリジンオレンジも同様の機序が推察されるが,まだ不明な点もある,今回の研究ではメチシリン耐性ブドウ球菌とバンコマイシン耐性腸球菌が低いアクリジンオレンジ濃度でも増殖が抑制されたが,増殖率はメチシリン耐性ブドウ球菌が22%に対してバンコマイシン耐性腸球菌は73%と高かった,メチシリン耐性ブドウ球菌は治療に難渋することもあり、表在性の感染症に対しては新たな治療方法のひとつとなり得る可能性が示唆された。
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