研究課題/領域番号 |
24659285
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
飯沼 由嗣 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90303627)
|
研究分担者 |
馬場 尚志 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (60359750)
鈴木 匡弘 愛知県衛生研究所, 生物学部, 研究員 (70446649)
|
キーワード | 緑膿菌 / 遺伝子タイピング / POT法 / MLST |
研究概要 |
新たな緑膿菌のデジタル遺伝子タイピング法(緑膿菌PCR-based ORF typing; POT法)開発のために、全ゲノムシークエンスが判明している緑膿菌3株(PA7(NC_009656)、PA14(NC_008463)、PA01(NC_002516))のゲノム塩基配列を比較し、菌株により保有状況の異なる部分のデータから候補となるOpen Reading Frame(ORF)を100個前後選別した。さらに、臨床分離株のORF保有状況からPOT法に利用できるORF候補を24個に絞り込み、アウトブレイク株や多剤耐性緑膿菌(MDRP)などを用いて検討し、加えてパルスフィールド電気泳動(PFGE)法やMultilocus Sequence Typing(MLST)法との比較を行い、最終的に10個のgenomic islet由来ORFを選定し、加えて菌株識別能を高めるために、5個のgenomic island由来ORFを選択した。さらに、メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)遺伝子(IMPおよびVIMグループ)および緑膿菌マーカー遺伝子も加えて、10および9-plexのmultiplex PCRにより判定できるようprimer設定を行った。POTは、遺伝子の有無を10進法に変換し、genomic islet部分の遺伝子の有無が前半の数字(POT1)に、genomic islandおよびMBL遺伝子の有無が後半の数字(POT2)となるようにした。POT1がST型(MLSTによって示される緑膿菌の系統)と関連することは昨年度の研究でも示されたが、さらに臨床分離株の追加し解析を行った結果、POT1とST型が1:1で一致する場合と、同一POT型に複数のST型の菌株が含まれる場合があった。また、ST235を示す多剤耐性クローンが本システムで判定可能であることが示された。PFGEとの比較では、Simpson's index=0.994とほぼ同程度の菌株識別能を有することが示された。
|