研究課題/領域番号 |
24659290
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石川 慎一 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00444662)
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研究分担者 |
溝渕 知司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70311800)
西江 宏行 岡山大学, 大学病院, 助教 (20379788)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超音波 / 神経ブロック / 内視鏡 / 痛み |
研究概要 |
平成24 年度の目標は,以下の3つであった。 1.ファントム装置を用いて血管内超音波の視認性と安全性,強度の確認を行った。富士フイルムソノサイト・ジャパン社製の超音波診断装置1台およびリニアプローブ,血管内超音波診断用カテーテル1本と専用の血管内超音波診断装置1台を用いて超音波での視認性をブルーファントムを用いて確認した。【方法および結果】22G10cmブロック針2種,血管内超音波診断用カテーテルの各視認性についてリニアプローブを用いて確認した。どの針も良好に確認できた。その後,血管内超音波診断用カテーテルを血管内超音波診断装置に接続して周囲組織とともに視認性を確認した。血管内超音波診断用カテーテルは,同心円から10mm離れた組織で視認性の低下を示した。【結語】血管内超音波診断カテーテルの視認性は良好とはいえずそのまま脊柱管内(硬膜外腔)に臨床応用するためには工夫が必要と思われた。 2.超音波装置による脊柱管内外の各組織の特徴,性状の調査を行った。上記の結果から遺体を用いた組織検討を追加した。超音波診断装置1台とリニアプローブ,血管内超音波診断用カテーテル1本を用いて超音波での各脊柱管関連組織の視認性を確認した。【方法および結果】Thiel法固定遺体2体を用いて,頸部~胸部の脊柱管と腰仙椎の解剖をそれぞれ行った。血管内超音波診断用カテーテルは脊柱管内の硬膜外背面で良好な操作性を示した。またリニアプローブの椎間板と椎間孔の視認性は良好であった。【結語】脊柱管内では硬膜外背面での使用が適切と思われた。椎間板ヘルニア,神経根症などの治療において,手技の正確さを確認し安全性を高める可能性が示唆された。 3.硬膜外内視鏡の適応がある腰下肢痛を持つ患者に対して内視鏡での観察と超音波装置での観察を比較に関しては,1,2の結果からまずThiel法固定遺体で行う必要があると思われ,計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24 年度の目標は前述の3つであった。 1.ファントム装置を用いて血管内超音波の視認性と安全性,強度の確認に関しての研究は達成できた。 2.超音波装置による脊柱管内外の各組織の特徴,性状の調査に関しては, 1の結果を踏まえて,生体ではなく遺体を用いて検討を行った。Thiel法固定遺体という超音波画像診断装置の視認性が保たれる特殊な固定遺体を用いて行った。遺体の解剖などに時間を要したが24年度内に研究は達成できた。 3.硬膜外内視鏡の適応がある腰下肢痛を持つ患者に対して内視鏡での観察と超音波装置での観察を比較,に関しては,1,2の結果からまずThiel法固定遺体で行う必要があると思われ,計画中である。その分達成度としてはやや遅れている。患者に用いることが可能な機器ではあるが問題点を解決するために必要な研究であり,時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究予定は,平成24年度の結果を検討して下記の研究を計画していた。 1.前年度データを分析して目的組織の素早い確実な描出方法の検討 2.椎間板造影,神経根ブロックなどの施行の様子を超音波画像でとらえ穿刺針の位置,薬液の広がりなどを検討, 3.経皮的髄核摘出術においてヘルニア摘出時の様子を超音波画像でとらえ,硬膜外超音波併用治療の有用性を検討,の三つである。 これらについてはまず,前述のように遺体を用いた研究を優先した後に,倫理委員会の承認を得て患者に施行する予定である。解剖,手続きなど時間を要するものが多く,年度末に達成できない可能性はあるが,段階を踏んで安全かつ確実に行うことが,研究として患者の利益を確保するためにも必須と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,消耗品を再使用(人・患者を目的としない研究で行った)するなど,予定よりも安く物品購入できたため残額が生じた。 次年度も引き続き超音波カテーテル部品など消耗品の購入,平成24年度の研究結果について学会発表を行うためなどに研究費が必要な状態である。 必要なものを厳選して,研究費を無駄にしないように心がけて使用する予定である。
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