研究概要 |
本研究では、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)による、生体試料中ヒ素化合物(ヒ酸、亜ヒ酸、メチルアルシン酸)の同定・定量分析に至るまでのハイスループット分析法の開発を目的とするが、本年度は、1)系統的化学形態別抽出法の検討、2)固相抽出並びにスケールダウンの検討、3)バリデーションの評価を行った。 1)系統的化学形態別抽出法の検討:前年度の結果をもとに、塩化スズ+ヨウ化カリウムで還元した後に2,3-ジチオ-1-プロパノール(BAL)で誘導体化して有機溶剤抽出することで無機ヒ素(亜ヒ酸、ヒ酸)と有機ヒ素(メチルアルソン酸)を区別して検出することが可能となった。また、無処理のままBALで誘導体後に有機溶剤抽出、抽出残渣を塩化スズ+ヨウ化カリウムで還元した後に2,3-ジチオ-1-プロパノール(BAL)で誘導体化して有機溶剤抽出することで亜ヒ酸、ヒ酸メチルアルソン酸を区別して検出することが可能となった。 2)固相抽出並びにスケールダウンの検討:MonoSpinC18を使用して0.5mlからの抽出が可能となり、スケールダウンに成功した。固相抽出基剤の種類を検討したが、回収率の面でC18が優れていたため、以降の実験ではC18を使用することとした。 3)バリデーションの評価:FDAの生体試料中の薬毒物分析ガイダンスに則り、再現性などを検討し、ガイダンスを満足する結果が得られ、本研究で開発した方法は、再現性の高い方法であることが保証された。
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