本研究では、GC/MSによる、尿中ヒ素化合物(ヒ酸、亜ヒ酸、メチルアルシン酸)の同定・定量分析に至るまでのハイスループット分析法の開発を目的に、誘導体化剤や還元条件、抽出条件の最適化を行った。その結果、尿中の3価ヒ素を2,3-ジチオ-1-プロパノールで抽出、次に5価ヒ素を3価ヒ素に還元して3価ヒ素と同様に抽出することで、ヒ素の化学形態別抽出が可能となった。尿中ヒ素の検出下限は1 ng/mL (S/N > 3)、検量線の範囲は2.0~200 ng/mLで良好な直線性が得られた(r>0.996)。尿中からの回収率は91.9~106.5%で、ばらつきも2.95~13.4%と再現性も確認できた。
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