研究課題/領域番号 |
24659304
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
友杉 真野(堀中真野) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80512037)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / 癌 / TRAIL / 免疫 |
研究概要 |
TRAILは、癌細胞特異的にアポトーシス(細胞死)を誘導するサイトカインの一種である。さらに近年の研究により、癌予防効果を持つことが明らかにされた。しかしながら、TRAILの分泌機構が未だはっきりとしていないために、その効果を十分に発揮させることができていない。一方、近年、癌との関係で注目を集めるようになってきた酵素群の一つにマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)がある。申請者らは、TRAILの分泌にMMP-8が極めて重要であることを世界で初めて見出した。さらに、本研究の目的として、MMP-8の発現を誘導する癌予防食品成分を探索することにより、新規分子標的癌予防法の開発を目指す。培養細胞を用いてTRAIL強制発現細胞株を作成し、その細胞においてsiRNAを用いてMMP-8の発現をノックダウンしたところ、上清中TRAIL量の顕著な減少を認めた。さらに、TRAILのアミノ酸配列中のMMP-8切断予測配列に変異を導入したところ、野生型TRAILの強制発現と比較し、顕著に上清中TRAIL量が減少したことから、TRAILの細胞外分泌におけるMMP-8の重要性を証明できた。 癌予防食品成分からMMP-8発現誘導成分の探索を行ったが、現在の段階では、酪酸菌を上回るMMP-8誘導成分は見出されていない。そこで、平行して大腸癌細胞株に対して、好中球との共培養下で酪酸菌と、DR5発現誘導成分、そしてTRAIL発現誘導成分との併用により、効率的なアポトーシスを誘導できるか検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
癌予防食品成分からMMP-8発現誘導成分の探索を行ったが、現在の段階では、酪酸菌を上回るMMP-8誘導成分は見出されていないためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに癌予防食品成分からMMP-8発現誘導成分の探索を続けるが、平行して、MMP-8発現誘導成分として見出している「酪酸菌」を用い、酪酸菌とDR5発現誘導成分、およびTRAIL発現誘導成分の併用効果の検討を進めることとする。 その理由として、これまでに好中球の免疫賦活作用を介して癌細胞へのアポトーシス誘導効果を評価してきた系は、表在性膀胱癌細胞株を対象としたものであった。一方で、実験に使用している酪酸菌は、現在、経口の整腸剤として広く用いられている医薬品であることから、消化器系癌に対する酪酸菌の効能を評価することが、たいへん重要であると思われるためである。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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