研究課題
本研究においては、タッチパネルを用いてパソコン上の食事内容選択による塩分摂取量算出を行う、塩分診断システムを開発し、このシステムを妊婦の食塩摂取量診断に応用した。高血圧外来患者204名において、24時間蓄尿による尿中食塩排泄量と本システムによる食塩摂取量の関係をみた。これ等対象における24時間食塩排泄量は、平均9.7gであった。この時、本システムによる推定食塩摂取量は9.1gであり、両者の相関係数は0.66(P<0.001)であった。地域、性、-食品の摂取量で補正後、本システムによる塩分摂取量と24時間食塩排泄量との相関係数は0.72(p<0.001)に上昇した。従って本システムでは、これ等の項を補正項として用いた。この相関係数は、正常診療に用いられるスポット尿より算出された推定食塩排泄量と、24時間尿中食塩排泄量との相関係数0.4-0.5にくらべて明らかに高かった。平均31.7±5.1歳の妊婦35人において、24h蓄尿を行った。尿検体提出日に塩分自己診断システムを施行した。25人の妊婦の平均体重は59.7±6.5kg、平均身長は157.9±5.0cmであった。排尿回数は、8.7±2.3回、非採尿回数は、0.7±0.9回であった。非採尿の回数で補正した24h食塩排泄量は、7.7±2.5gであった。同時に測定された塩分診断システムによる食塩摂取量は、7.4±2.0gであった。二者の相関はγ=0.47(p<0.004)であった。本検討により、東北の一地域における妊婦の食塩摂取量は7.4gと、本邦人口の平均的食塩摂取量10-11gに比し、明らかに低値であった。本邦の妊婦には食塩制限の必要性が認識されていると推定された。本システムは一般高血圧診療に限らず、産科における妊婦の高血圧管理を目的とした食塩摂取量の指導に極めて有効である。
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Clin and Experimental Hypertension
巻: (Epub a head of print)
10.3109/10641963.2013.863319
臨床栄養
巻: 123 ページ: 347-353
http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~rinshou/rinyaku.html