研究課題
健診において異常を指摘された対象者がより適切な受診行動をとっていれば健診の有用性がさらに高まる可能性がある。しかしながら健診で異常指摘後の対象者の行動については十分に検討がされていない。本研究では、山形分子疫学コホート研究対象者のうち、高血圧を指摘されかつ未治療の者に対し、健診1年後の健康行動調査を実施し受診後1年後の健康行動を規定する要因を心理社会的要因も含めて分析を行った。高血圧を指摘されかつ未治療の者に対し、追跡調査を実施し受診後1年後の健康行動を規定する要因を分析した。ベースライン調査で未治療高血圧者であった686名のうち458名が追跡調査に回答した。そのうち、103名(22%)が高血圧の治療を開始、98名(21%)が受診したものの治療開始なし、75名(16%)が受診なし、182名(40%)が高血圧を認識していないという結果であった。本研究より明らかとなったのは以下の点である。1.健診時、未治療であった高血圧者が1年経過して治療を開始している割合は約20%であった。一方、高血圧を認識していない者が40%を超えている。高血圧のリスクとその基準値についてより積極的な周知が必要であると考える。特にⅠ度の高血圧の者の約半数が高血圧であることを認識していないことは重要な点であると考える。2.高血圧を認識しているにもかかわらず受診をしないというリスクで最大のものは飲酒習慣であった。未治療高血圧で飲酒習慣のある者に受診勧奨を行う必要があるかもしれない。3.受診をして治療が開始されないリスクとしては白衣高血圧の介在が予想される。高血圧を指摘された者にあらかじめ家庭血圧測定を勧めることで必要な者が必要な受診をするような体制を構築できるかもしれない。本研究では高血圧を中心として上記のような成果を得た。引き続き、糖尿病・高脂血症についての分析も進めていく予定である。
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