研究課題
【目的】本研究は、わが国で未だその発症数が多い脳出血について、その病型(皮質下領域、穿通枝領域)に注目し、脳出血の病型別の発症率の推移を検討するとともに、脳出血の病型別の危険因子を検討することを目的とした。【方法】対象は秋田、茨城、大阪の地域住民男女である。対象集団の1985~2009年までの25年間における脳出血及び病型別の発症率を悉皆調査の結果から、年度別(1985~1989年、1990~1994年、1995~1999年、2000~2004年、2005年~2009年)、性別に10万人年あたりで発症率を算出した。次に、対象集団において1985年~94年に健診を受診した9,086人(男性3,560 人、女性5,526 人)を解析対象とし、2010年までに発症した脳出血を深部脳出血(視床、大脳基底核、脳幹)、皮質下出血、小脳出血に分けて、健診所見と脳出血発症との関連について、Cox比例ハザードモデルを用いて、年齢及び多変量調整後の各危険因子のハザード比を脳出血の部位別に算出し検討を行った。【結果】脳出血の発症率を経年的にみた結果、深部脳内出血は減少傾向であったが、大脳皮質下・小脳出血は横ばいであった。追跡期間中に154例の脳内出血が発症し、各危険因子と脳内出血発症との関連を検討した結果、収縮期血圧高値、心電図ST-T異常、多量飲酒(2合以上/日)は深部脳出血発症と関連し、総コレステロール低値は皮質下・小脳出血発症と関連した。糖尿病、喫煙は深部脳出血、皮質下・小脳出血ともに有意な関連はみられなかった。【結論】本研究の結果、脳出血はその部位によって危険因子が異なる可能性が示唆された。皮質下・小脳出血の症例数はまだ十分ではなく今後追跡期間を延ばした検討が必要である。
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