研究課題/領域番号 |
24659324
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
本田 純久 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90244053)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ソーシャルマーケティング / 疫学調査 / ヘルスプロモーション / 離島 |
研究概要 |
当該研究課題は、長崎県島嶼地域住民を対象に、ソーシャルマーケティングを活用した生活習慣改善のための地域介入の方策を立案し、実行することを目的とする疫学研究である。平成24年度は、長崎県健康・栄養調査における栄養素等摂取状況調査のデータをもとに、長崎県内の本土住民と離島(五島、壱岐、対馬)住民の間で食品群別摂取量を比較した。分析対象者数は本土住民が1,426人、離島住民が379人(五島135人、壱岐128人、対馬116人)であった。分析の結果、米、砂糖、緑黄色野菜、生魚介類、油脂類の5つの食品群について、本土と離島の摂取量に統計的有意差がみられた。米は本土356g、離島400g、砂糖類は本土6.34g、離島10.45gと本土よりも離島が多く摂取していたのに対し、緑黄色野菜は本土83.33g、離島70g、生魚介類は本土83.33g、離島71.95g、油脂類は本土9.33g、離島7.5gと離島よりも本土が多く摂取していた。また統計的な有意差はみられなかったものの、肉類や菓子類は本土が、いも類や調味料、塩分は離島が多く摂取する傾向がみられた。全国平均と長崎県全土を比較すると、米やいも、豆類などは長崎県が多く摂取していたのに対し、肉類や油脂類、調味料、塩分の摂取量は全国平均が上回っていた。さらに離島間での食品群別摂取量の比較では、米の摂取量は五島が360gであったのに対し、壱岐や対馬では摂取量が400gを超えていた。反対に、生魚介類(五島100g、壱岐69.2g、対馬63g)や魚介加工品(五島62.5g、壱岐30g、対馬37.5g)は、壱岐や対馬の住民より五島の住民が多く摂取していた。長崎県の本土と離島の間で栄養摂取状況に違いがみられたのみならず、離島間でも違いがみられたことから、離島の生活環境や、生活習慣の文化的、社会的背景を考慮に入れた地域介入の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長崎県島嶼地域住民の生活習慣に関する基礎情報をこれまでに収集し、生活習慣改善のための地域介入の方策を立案することができた。また疫学調査に用いる質問紙の開発を行っており、疫学調査実施のための準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は長崎県島嶼地域住民を対象に、生活習慣と健康問題に関する調査を行う。調査は自記式質問紙による量的調査と個別インタビュー、グループインタビューによる質的調査の2部で構成する。さらに次年度以降のパネルスタディー(縦断的研究)実施に向けた研究基盤の整備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
長崎県島嶼地域での調査の実施のために国内旅費を使用する。量的調査および質的調査で得られた資料の整理およびデータ入力のために人件費を使用し、資料の保管およびデータ分析のために、消耗品費を使用して物品を購入する。研究により得られた成果を国内および国外の学会において発表するために旅費を使用する。
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