研究実績の概要 |
63人の乳がん症例と、76人の対照群のデータを解析して、2013年に英文専門誌Cancerに発表したが(Minatoya M, Mori M, et al. Breast Cancer 2013)、さらに症例数を増やし、かつ、年齢と閉経状態をマッチングして、66対の症例対照研究を行い、2014年に英文専門誌した(Minatoya M, Mori M, et al. Asian Pacific J Cancer Prev 2014; 15: 8325-8330.)。その際、閉経前発症の症例と、閉経後発症の症例に分けて、解析を行った。その結果、血中adiponectin濃度が高いことが、閉経前発症のにおいても、閉経後発症のにおいても、乳がんのリスク低下と関連していた(閉経前発症の場合、オッズ比0.01, 95%信頼区間0.00-0.26、閉経後発症の場合、オッズ比0.13, 95%信頼区間0.03-0.57)。また、BMIが低いことが乳がんのリスク低下と関連していた(閉経前発症の場合、オッズ比0.04, 95%信頼区間0.00-0.69、閉経後発症の場合、オッズ比0.28, 95%信頼区間0.07-1.11)。いろいろな交絡要因を調整しても同様の結果であったことから、血中adiponectin濃度やBMIは、独立して乳がんのリスクと関連していると考えられた。この結果から、閉経前においても、閉経後においても、肥満にならないようにすることが、乳がんのリスクを低下させる可能性が示唆された。
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