研究課題
藤原京スタディの対象者のうちベースライン調査を完遂した男性2012人を対象とし、藤原京スタディの部分研究として5年次追跡調査を実施し(追跡率、71.1%)、骨折発生状況については、2010年時郵送調査の回答と併せ計1584人から回答を得た。循環器疾患発症については、追跡調査時に5年間に冠動脈疾患発症の有無について回答を得た1519名中、ベースライン時に心筋梗塞(24例)、脳梗塞(45例)の既往があった者を除いた1360名について、ベースライン時の終末糖化産物(ペントシジン)とその細胞外受容体(esRAGE)値と、その後の冠動脈疾患発症の有無について検討した。ペントシジン値は、冠動脈疾患発症群(195名)で有意に高かったが、esRAGE、esRAGE/ペントシジン比は有り無しの両群で差がなかった。追跡時に測定した動脈硬化指標である頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)値との関連については、esRAGE値を四分位に分けて検討すると、esRAGE値が大きい区分程、年齢、体格、血圧、生活習慣で調整したIMT値が有意に低い傾向を認めたが、ペントシジンやesRAGE/ペントシジン比値とIMT値との有意な関連は認めなかった。脆弱性骨折発生との関連については、脆弱性骨折発生群でペントシジン値が有意に高く、esRAGE/ペントシジン比が有意に低かった、esRAGEについては有り無しの両群で差がなかった。脆弱性骨折発生に関する年齢と大腿骨頸部骨密度で調整したesRAGE/ペントシジン比の1標準偏差増加毎のハザード比は0.48で、esRAGE/ペントシジン比値が高い程、骨折発生リスクが有意に低下する可能性が示された。
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