研究課題/領域番号 |
24659336
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
猩々 英紀 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60284626)
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研究分担者 |
馬淵 正 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80150308)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 法医学 / ミトコンドリア / 3次元画像解析 |
研究概要 |
法医学では死体から生活反応を可視化し、死因や事件・事故との因果関係を精査する事は重要である。これまでの法医診断の多くが、組織や器官レベルでの形態変化や生活反応或いは分子レベルでのタンパク質や遺伝子の発現変化などの解析であり、細胞内小器官を指標とした解析は少ない。細胞内小器官の一つであるミトコンドリアの形態はその機能や脳機能を反映しており、死後の脳においても死の直前の状態がミトコンドリアの形態として保存されている可能性がある。そこで、本研究では、脳損傷の痕跡がミトコンドリアの形態変化として保存されている事を明らかにする事を目的とする。また、高分解能蛍光顕微鏡を用いた3次元画像解析により細胞内小器官の生活反応を可視化・解明し、新たな法医診断法の開発する事を目指している。 当該年度は、組織標本から高精度に3次元像を構築するために、試料調製条件や画像解析条件について検討を行った。まず、Wistar系ラットの右頭頂骨正中部に脳挫傷作製装置を用いて側方打撃を加え、脳損傷モデル動物を作製後、灌流固定し脳を摘出した。その後、組織標本の厚さが、3次元画像解析に及ぼす影響を調べるために抗チトクロームC抗体を用いて免疫蛍光染色を行った。厚さ3~10 μm以下の標本では均一な抗体の浸透を認めた。また、退色などによる明らかな蛍光強度の低下は認められず、精細な3次元像を構築する事が可能であった。一方、従来の方法では厚さ50 μm以上の標本で自家蛍光や蛍光強度の低下などの影響が認められた。3次元画像構築条件の検討では、SoftWoRx 4とアルゴリズムの異なるHuygensを用いてデコンボリューションを行い画像の比較を行なっており、本研究に最適な3次元画像構築条件を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画に従って、組織標本から高精度に3次元像を構築するための試料調製条件や画像解析条件について検討を行った。その結果、高分解能蛍光顕微鏡を用いた3次元画像解析の基礎的な条件及び知見を得ており、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、頭部外傷に伴うミトコンドリアの機能と形態の変化についての検討を行う。平成25年度では、主にATP生産量の変化、複合体I~IV及びATP合成酵素の量的変化、活性酸素種の産生量及びシトクロームcの放出により誘導されるアポトーシスとミトコンドリアの形態変化などについて機能の変化を検討する。続いて、平成26年度に、ミトコンドリアの形態変化を3次元画像解析によって明らかにし、ミトコンドリアの形態と機能の関連について検討する。これらの結果から、死後の脳において脳損傷の痕跡がミトコンドリアの形態変化としてどのように保存されているかを明らかにすることで、法医診断法の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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