研究概要 |
(1)疫学調査 倫理委員会で承認された「生体ガスの長期調査」参加者を対象とし,被験者には早朝空腹の状態で来研してもらい,高純度人工空気を約12分間呼吸した状態で安静時の呼気・皮膚ガスを採取し,H2以外にも超高感度質量分析による質量スペクトラムとCH4, CO, NO/NOX, O2, CO2等の低分子化合物の高感度ガス分析を行った.また採血による一般スクリーニング検査の他に種々の酸化ストレスマーカを分析した.これにより摂取食品・食品嗜好と生体ガスの相関性を明確にするための臨床データを蓄積した.(2)食品摂取による呼気水素と抗酸化ストレスの急性変動 健康成人を対象に,前日は呼気水素濃度を高める可能性のある食品をひかえ,早朝空腹状態で来研,まず採血用静脈留置針の留置を行い,①水または②牛乳を一定速度で摂取し,摂取前,摂取後9時間までの各1時間毎の呼気・皮膚ガス,唾液,静脈血ならびに尿を採取した.この結果,牛乳摂取に伴う呼気水素の上昇と抗酸化ストレス能(BAP)が有意な相関を示した.さらに種々の食品(大豆,豆乳,豆腐,ワカメ,玄米)を摂取し,呼気水素の上昇を認めたが,個体差が非常に大きいことを認めた.(3)嫌気性醗酵ガス成分検出法の検討 糞便塊を嫌気的に密閉容器に入れ,さらに窒素または人工空気ガスで充填,これを室温または38℃で加温し,主に硫黄化合物・アンモニアなどの放出ガスの検討した.この結果,純窒素・38℃で保温するとガス放出量が増加することが判明し,糞便中のガス放出システムの基礎的条件が分かった.
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