(1)食物繊維を含む食品群の呼気水素に与える影響 玄米・白米・糠を摂食前と直後におけるベースラインの呼気水素は5~15ppmとばらつきがあったが,食直後1時間から4時間後にかけて呼気水素は安定する傾向にあった.しかし,5時間を経過したところから玄米摂食時には呼気水素濃度は徐々に増加し,平均20ppm程度まで増加した.糠と白米の摂食では呼気水素の有意な増加は認められなかったが,玄米摂食では8~9時間後に呼気水素は有意な増加を認めた.玄米食は牛乳やラクツロースほどの呼気水素上昇作用は顕著ではないが,呼気水素の変動パターンは生体内酸化ストレスのそれに類似し,朝食にしっかりと玄米を食することで腸内発酵由来水素分子の果たす抗酸化作用が期待できた. (2)牛乳摂取時におけるクルクミンの腸内醗酵抑制作用 クルクミン無添加では牛乳摂取後1時間後から呼気水素は徐々に増加し,4時間後にピークを迎え,6時間後には呼気水素濃度はやや低下した.クルクミン添加では呼気水素の上昇は抑制され,6時間後にようやくクルクミン無添加のレベルに達した.同一被験者でクルクミン投与を増やしたところ容量依存的に曲線下面積は低下した.以上から牛乳に添加したクルクミンには腸内細菌叢に対して静菌的作用がある可能性が考えられた.クルクミン添加は呼気水素上昇を緩やかに抑制し一過性であった.乳糖不耐性に対する対処法としてクルクミンの添加が有効であると考えられた.
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