DNAポリメラーゼ・イータ(Polη)は,損傷のないDNAを鋳型として大変誤りがちなDNA合成を行い,免疫グロブリン遺伝子領域の体細胞突然変異の生成にも寄与する。Polηが活性化するためには分子シャペロンHSP90との相互作用が必須であり, HSP90阻害剤は,Polηの構造を不安定にし,がん細胞の増殖を抑制するものと考えられている。 本研究では,完全長ヒトPolηを精製した。また,抗ウサギPolηの特異的な抗体を得た。HSP90はPolηの安定化に寄与すること,膠芽腫で核周辺にHSP90とPolηの強い相互作用が確認できた。上衣腫では,HSP90とPolηの相互作用は検出できなかった。
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