研究課題/領域番号 |
24659359
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂本 直哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10334418)
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研究分担者 |
中西 満 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10392250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 基礎研究 / B型肝炎 |
研究概要 |
申請者らは、現在のB型肝炎ウイルス(HBV)治療を補完し重症急性感染に対し即効性のある新規抗ウイルス療法を 創出するため、未だ十分に研究されていないヒトHBX蛋白を標的とした特異的阻害薬創薬の技術基盤を構築するため研究を遂行し、以下の知見を得た。(1) HBV蛋白のウイルス蛋白発現、細胞増殖、細胞内シグナルなどに作用する機能ドメインを探索するため、HBX蛋白を選択的に欠損する1.2倍長HBV感染プラスミドを構築し、Huh7細胞に遺伝子導入したところ、HBX野生株に比べ増殖能が著明に低下することを確認した。(2)野生型X蛋白発現プラスミド、および全長にわたりアミノ酸を4個ずつ網羅的にアラニンに置換したX蛋白発現系を構築し、培養細胞での発現を確認した。 HBX蛋白の転写活性化能を確認するため、野生型HBX蛋白とAP1 promoter-luciferaseプラスミドを強制発現したと(3)ころ、HBX蛋白強制発現によりAP1転写活性化能が優位に上昇することを確認した。網羅的にアラニン置換を導入した変異X蛋白によるAP1転写活性化能を解析したところ、HBX蛋白のC末端側への変異導入によりその転写活性化能がブロックされることが確認され、X蛋白側の転写活性化ドメインがC末端よりに存在することを確認した。 平成25年度以降も引き続き、HBX蛋白の機能ドメインの探索と分子標的化合物の開発を遂行する。(1) 変異HBX蛋白発現プラスミドを用いての細胞増殖、細胞内シグナルなどの解析をおこなう。(2) 化合物ライブラリーを用いて、HBX標的化合物スクリーニング系による阻害活性物質探索を行う。(3) ヒト肝細胞移植Alb-uPA/SCIDマウスより単離した初代一缶細胞株を用いてHBV増殖能、HBX蛋白の効果を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の施設移動により、新規研究施設での研究環境整備に若干の時間を要したが、概要に記された結果を得ることができ、目的はおおむね達成された。
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今後の研究の推進方策 |
(1)HBV感染ライフサイクルにおけるHBX蛋白の機能解析:本研究では、各機能ドメインを欠損したX蛋白発現プラ スミドを用いて、ウイルス蛋白発現、細胞増殖、細胞内シグナルなどに対する影響を解析する。i.N末端側、C 末端側欠損X蛋白発現プラスミドの構築。 ii.X蛋白の細胞内導入による細胞内局在、細胞増殖能、アポトーシス 感受性の解析。iii.欠損X蛋白のHBV増殖能、細胞機能への影響の解析 (2)HBV感染増殖に関連するHBX蛋白機能エピトープの網羅的探索:X蛋白の全長に渡り、in-vitro mutagenesisに よりアミノ酸をアラニン5個に置換した変異を導入したX蛋白発現プラスミド約50クローンを構築する。これらの 変異X蛋白プラスミドを、X遺伝子欠損HBVプラスミドと共に細胞に導入し、HBV増殖、細胞周期、アポトーシス感 受性にそれぞれ関与するX蛋白エピトープを網羅的に解析する。この知見をもとにX蛋白上で薬物・合成化合物の 標的となる部位を探索・特定する。i.in-vitro mutagenesisによるX遺伝子への網羅的アラニン置換の導入。ii. 変異X蛋白プラスミドとX遺伝子欠損HBVプラスミドの細胞内導入、ウイルスDNA、蛋白発現レベルの解析 上記計画のため、本研究費では主に実験に要する試薬などを購入する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度未使用額の発生理由:平成24年3月に研究代表者が当該施設に移動したにことに伴い、平成24年度において新たな研究環境の整備、研究設備備品の調達に時間を要した。このため当該年度の試薬、消耗品を使用した研究計画に遅れを生じた。上記未使用額は、平成25年度研究計画の遂行のための試薬、消耗品購入、外注検査費用に使用する予定である。
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