1)IDOノックアウト(KO)マウスを用いたHBV特異的CTL誘導能の解析 前年度の実験結果よりHBV抗原+α-ガラクトシルセラミドによる免疫はIDOの発現を欠損させることにより、よりHBs抗原特異的な免疫応答を誘導できることが明らかとなった。そのメカニズムとしては、リンパ節内では特にCD11b陽性細胞がIDOを発現し、抗原特異的なCTLの増殖能を抑制するため、そのIDO発現を取り除くことによりHBV特異的CTL誘導能を高めたと考えられた。また、IDOの拮抗阻害剤である1-メチルトリプトファンもHBs抗原特異的な免疫応答を増強できるできることが確認できた。 2)HBVTg/ IDOKOマウスを用いた急性肝障害の解析 前年度の結果より、HBs抗原特異的細胞傷害性T細胞移入による急性肝障害モデルにおいてIDOの欠損は、肝障害の程度を軽減させるものであると明らかにした。さらに、本モデルにおいてはトリプトファンの代謝産物であるキヌレニン、IFN-γおよびTNF-αが急性肝障害の進展に重要であり今後の治療ターゲットになり得ることが示唆された。
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