研究課題/領域番号 |
24659364
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70335355)
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研究分担者 |
重川 稔 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (00625436)
巽 智秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20397699)
疋田 隼人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20623044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 膵炎 / STAT3 / アポトーシス / Bcl-xL / ノックアウトマウス |
研究概要 |
急性膵炎では、膵組織の脱落とともに膵周囲への炎症細胞の浸潤が認められる。この膵組織の脱落とは主に膵腺房細胞の細胞死であり、それに伴う膵局所の炎症反応が全身性に波及すると膵炎は重症化する。一方、STAT3は細胞の生存、増殖、炎症などに関わる遺伝子の発現調節や他の転写因子の制御などを行う重要な蛋白である。申請者は急性膵炎時の腺房細胞障害における膵STAT3の役割を明らかにするために、膵特異的にSTAT3を欠損したマウスにセルレインを反復腹腔内投与し急性膵炎を引き起こし、その病態を解析した。 セルレイン反復投与により、膵STAT3欠損マウスではコントロールマウスと比し、血清アミラーゼ、リパーゼの有意な上昇を認めた。組織学的にはHE染色にて広範な膵壊死およびTUNEL染色にてTUNEL陽性細胞数の増加を認めた。コントロールマウスではセルレイン投与に伴い膵においてBcl-xLの蛋白発現上昇を認めたが、膵STAT3欠損マウスでは発現上昇が抑制されており、TUNEL陽性細胞増加の要因の一つと考えられた。また、膵STAT3欠損マウスでは脱落した膵実質細胞周囲には著明な炎症細胞浸潤を認め、膵炎の有意な重症化が認められた。さらに、セルレイン膵炎後の回復過程を継時的に評価すると、膵STAT3欠損マウスではコントロールに比し膵組織像回復や細胞増殖の遅延が認められた。 セルレイン急性膵炎において膵STAT3は炎症細胞浸潤を伴う膵壊死およびアポトーシス細胞死に対して保護的に働くことが示された。今後、急性膵炎時に膵STAT3が細胞死や炎症細胞浸潤に対して保護的に働く分子機構についてさらなる検討を加えていくとともに、急性膵炎におけるネクローシス細胞死およびアポトーシス細胞死の細胞死機構及び相互作用を解明し、各々が炎症反応に及ぼす影響を検討することで、重症急性膵炎の予後改善の新たな治療戦略につなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
膵臓得意的なSTAT3ノックアウトマウスを作成し、STAT3の膵腺房細胞保護効果を明瞭に示すことができた。当初の予想を上回る定量的な解析ができることが判明したため、次年度はそのメカニズムについて詳細な解析ができることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
ノックアウトマウスの膵臓における遺伝子発現プロファイルからSTAT3に制御されている分子群を抽出し、膵腺房保護効果のある遺伝子を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
ノックアウトマウスと対照マウスにおける遺伝子発現をマイクロアレイを用いて網羅的に解析する。 標的となる遺伝子を発現するベクターあるいは抑制するsi RNAを作成する。 ベクターあるいはsi RNAのマウスへの投与実験を行う。 マウスの表現型解析を行う。
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