研究課題
これまでの培養細胞を用いたin vitroの検討において,胃粘膜上皮細胞内におけるmicroRNA arrayの網羅的な解析から,種々のoncogenic pathwayに関わることが報告されているlet-7の発現が、CagA発現に伴い減少することが明らかとなった.さらに、CagA発現によるlet-7の発現低下により,その標的である癌遺伝子Rasの発現・活性化亢進、下流シグナルERKのリン酸化誘導が惹起されることを認めた.CagAによるlet-7発現制御機構については,CagAの発現により,DNAメチル化転移酵素DNAMT3Bの発現が誘導されるとともに,癌遺伝子c-mycの発現誘導を介して,EZH2の発現が誘導されること,免疫沈降やChIP assayによる検討からc-myc,EZH2,DNMT3Bが複合体を形成して,let-7プロモーター領域のヒストンH3K27のトリメチル化が亢進されること,let-7プロモーター領域のDNAメチル化が亢進されることが明らかとなり,CagAによりlet-7発現のエピジェネティック制御機構によるsilencingが惹起されることが示された.CagA強制発現マウスを作成し、長期飼育を行うと,腫瘍形成を認めた.CagA強制発現マウスの胃を摘出,PAS染色やAB-HID染色により,CagAが腸上皮化生や炎症を誘導することなく,c-myc,EZH2,DNMT3Bの発現亢進とlet-7の発現低下、Ras発現・活性化亢進、細胞増殖を亢進させることが明らかとなった.〔総 括〕H.pylori CagAが,エピジェネティック制御によるlet-7発現抑制を介してRas-MAPK経路亢進に寄与する新たなoncogenic potentialを有していることが示唆された.
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