研究課題
選択的スプライシングは、細胞内シグナルに応答して遺伝子発現を調節する機構である。近年では選択的スプライシング異常と発がんや神経疾患、代謝性疾患との関連性が注目されている。本研究では、選択的スプライシング調節因子Tra2 betaを含むセリン/スレオニンスプライシング因子(SRSF)ファミリーより生成される、中途ストップコドン(PTC) mRNAバリアントに内在された新たな機能の解明を目指した。平成25年度の研究においては、1. ヒトSRSF3遺伝子より、酸化ストレスにより選択的に生成されるPTCバリアントから翻訳されるtruncatedなタンパク質は、炎症性サイトカインの転写調節に関与することを見出した(Am J Physiol Cell Physiol. 2013, J Med Invest. 2013にて報告)2.ヒトTRA2B遺伝子より転写されるPTCバリアントであるTra2 beta-4をビオチンラベル化し、直接相互作用する可能性のあるRNA結合タンパク質を質量分析法により10種類スクリーニングし、ウエスタンブロットにより確認した。3. 24例の大腸がんpaired tissue パネルを用い、Tra2 beta-4 RNAの発現量が癌組織において正常組織で比較し、有意に亢進していることを見出した。4. 肝・肺・乳がんを含む7種の癌パネルを用い、Tra2 beta-4 RNAの発現パターンのプロファイリングを行った。以上のことから、SRSFファミリータンパク質の新しい細胞内機能を見出した。さらにPTCを持ちタンパク質に翻訳されないTra2 beta-4 mRNAが大腸がん細胞において機能性RNA分子として作用する可能性があるという新たな知見を得ることが出来た。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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