研究課題
難治性癌である膵癌は、有用なモダリティーが存在せず早期診断が困難である。現在、体外式超音波検査法、CTや超音波内視鏡が膵の腫瘤性病変の鑑別診断に用いられているが、腫瘤形成性膵炎などの良性疾患との鑑別に苦慮する事も稀ではない。これまで研究者らは、膵癌細胞の高いフコース要求性に着目し、そのreceptor-mediated endocytosisを利用した特異的に経静脈投与で膵癌細胞に取り込まれるフコース結合ナノキャリアを開発し、癌細胞そのものを標的とした新規抗がん療法を開発した(PLoS ONE, 2012)。本研究では、フコース結合ナノキャリアの高い膵癌指向性を利用し、ペルフルブタンを内包化し膵癌細胞に積極的に取り込ませることで、膵臓癌を可視化できる新しい超音波造影技術の顕在化を行った。ペルフルブタンガス内包化フコース修飾リポソーム(Fuc-liposome- PFB)を作製し細胞への導入効果をin vitroで解析した.その結果,Fuc-liposome-PFBをCA19-9産生膵癌細胞株(BxPC3)に暴露すると2時間で取り込みが認められた.またin vivoにおいて,膵腫瘍担がんヌードラットを作製し,Fuc-liposome-PFBの封入条件に関する検討を行った結果、超音波造影で検出される程度のガス封入手法を確立できた。更にマウスを用いた副作用試験の結果、通常使用濃度で顕著な副作用は認められなかった。今後は,リポソームに封入するペルフルブタンガス量を増加させ、安定性を確保しうる製剤の作製方法が明確になった.実用化に向けて更なる検討を実施する予定である.
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