研究概要 |
Natural Helper (NH)細胞は、自然免疫系でTh2サイトカインを産生する新しい細胞である。他のリンパ球がリンパ節や脾臓に多く存在するのに対し、NH細胞は腸間膜をはじめとする脂肪組織の中で見いだしたリンパ球集積Fat-associated lymphoid cluster(FALC)に存在することを特徴とする。NH細胞はlineage(CD3, CD4, CD8α, CD11c, CD19, TCRβ, TCRδ, B220, NK1.1, Mac-1, Gr-1, FcεR1α)陰性でc-Kitを発現し、IL-2、IL-7、IL-25、IL-33受容体を発現する。IL-2はNH細胞の増殖に、IL-7はNH細胞の分化に必須であること、IL-2とIL-25の共刺激、またはIL-33の単独刺激によってこれまで報告されているTh2サイトカイン産生細胞(Th2細胞、肥満細胞、好塩基球など)を遙かに凌駕する多量のTh2サイトカイン産生を行うことが明らかになっている。 本研究ではIL-33の重要性が近年報告されているIBDにおいてNH細胞が腸管へと出現し、発症や増悪に関わるかどうかを明らかにするために潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)モデルやクローン病(Crohn's disease:CD)モデルマウスを用いてNH細胞の動態を精査する。本年度はモデルマウスの作成および、NH細胞が存在するFALCを含む腸管膜脂肪組織におけるIL-33の発現を調べた。IL-33は上皮細胞や血管内皮細胞での発現が報告されているが、フローサイトメトリーを用いた解析から腸管膜脂肪組織におけるIL-33発現は腸管上皮細胞よりも著明に高いことが明らかになった。
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