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2012 年度 実施状況報告書

炎症性腸疾患におけるナチュラルヘルパー細胞の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 24659373
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

茂呂 和世  独立行政法人理化学研究所, 免疫細胞システム研究グループ, 上級研究員 (90468489)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードナチュラルヘルパー細胞
研究概要

Natural Helper (NH)細胞は、自然免疫系でTh2サイトカインを産生する新しい細胞である。他のリンパ球がリンパ節や脾臓に多く存在するのに対し、NH細胞は腸間膜をはじめとする脂肪組織の中で見いだしたリンパ球集積Fat-associated lymphoid cluster(FALC)に存在することを特徴とする。NH細胞はlineage(CD3, CD4, CD8α, CD11c, CD19, TCRβ, TCRδ, B220, NK1.1, Mac-1, Gr-1, FcεR1α)陰性でc-Kitを発現し、IL-2、IL-7、IL-25、IL-33受容体を発現する。IL-2はNH細胞の増殖に、IL-7はNH細胞の分化に必須であること、IL-2とIL-25の共刺激、またはIL-33の単独刺激によってこれまで報告されているTh2サイトカイン産生細胞(Th2細胞、肥満細胞、好塩基球など)を遙かに凌駕する多量のTh2サイトカイン産生を行うことが明らかになっている。
本研究ではIL-33の重要性が近年報告されているIBDにおいてNH細胞が腸管へと出現し、発症や増悪に関わるかどうかを明らかにするために潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)モデルやクローン病(Crohn's disease:CD)モデルマウスを用いてNH細胞の動態を精査する。本年度はモデルマウスの作成および、NH細胞が存在するFALCを含む腸管膜脂肪組織におけるIL-33の発現を調べた。IL-33は上皮細胞や血管内皮細胞での発現が報告されているが、フローサイトメトリーを用いた解析から腸管膜脂肪組織におけるIL-33発現は腸管上皮細胞よりも著明に高いことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

炎症性腸疾患におけるNH細胞の役割を明らかにする上で、IL-33の関与を明らかにすることは重要である。IL-33は定常状態で核内に保存され、ネクローシスが起きると細胞外へと放出されるサイトカインであることから、定常状態での産生細胞の検出が可能である。我々はIL-33にGFPをノックインしたマウスを用いることで、これまでに報告のない、脂肪組織においてIL-33が高発現することを明らかにしている。今後は計画書に則り、2種類の腸炎モデルマウスにおけるIL-33の放出とNH細胞によるTh2サイトカイン産生の惹起を確認する。

今後の研究の推進方策

現段階で研究計画に大きな変更はない。IBDにおけるNH細胞の発症や増悪への関与を明らかにするために潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis:UC)モデルやクローン病(Crohn's disease:CD)モデルマウスを用いてNH細胞の動態を追究する。特にこれらの疾患への関与が示唆されているIL-33の脂肪組織における発現場所の特定と、IL-33発現細胞とNH細胞の病態進行における動態に着目し解析を行う。また、腸炎発症時に定常状態で脂肪組織のFALCに局在するNH細胞が炎症局所へ移動できるか否か、移動できる場合、そのメカニズムを明らかにするために、ケモカイン、インテグリン、セレクチンの変化について精査する予定である。

次年度の研究費の使用計画

該当無し

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Role of Innate lymphocytes in infection and inflammation2012

    • 著者名/発表者名
      Koyasu S, Moro K.
    • 雑誌名

      Frontires in Immunology.

      巻: 3:101 ページ: 1-13

    • DOI

      10.3389/fimmu.2012.00101. Epub 2012 May 7.

  • [雑誌論文] Stress-induced production of chemokines by hair follicles regulates the trafficking of dendritic cells in skin.2012

    • 著者名/発表者名
      Nagao K, Kobayashi T, Moro K, Amagai M. et al.
    • 雑誌名

      Nat Immunol.

      巻: 13 ページ: 744-752.

    • DOI

      10.1038/ni.2353.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Natural Helper Cells in the Lung: Good or Bad Help2012

    • 著者名/発表者名
      Koyasu S, Moro K.
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 36(23) ページ: 317–319

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2012.03.001.

  • [学会発表] アレルギーにおけるナチュラルヘルパー細胞の役割2012

    • 著者名/発表者名
      茂呂和世
    • 学会等名
      ロチェスター・カンファレンス
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-06-27
  • [学会発表] IL-33-dependent eosinophilia in the lung mediated by natural helper cells.

    • 著者名/発表者名
      Kazuyo Moro
    • 学会等名
      20th International Symposium on Molecular Cell Biology of Macrophages 2012
    • 発表場所
      Tokyo
    • 招待講演
  • [学会発表] ナチュラルヘルパー細胞の寄生虫感染・アレルギーにおける役割

    • 著者名/発表者名
      茂呂和世
    • 学会等名
      第77回日本インターフェロンサイトカイン学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 招待講演
  • [学会発表] Natural helper cells in IL-33 dependent lung eosinophilia upon helminth infection

    • 著者名/発表者名
      Kazuyo Moro
    • 学会等名
      International Endotoxin and Innate Immunity Society Meeting 2012
    • 発表場所
      Tokyo
    • 招待講演
  • [学会発表] Structural characteristics of Fat-associated lymphoid cluster in adipose tissue

    • 著者名/発表者名
      茂呂和世
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会総会・学術集会記録
    • 発表場所
      神戸
  • [図書] 実験医学2012

    • 著者名/発表者名
      茂呂和世
    • 総ページ数
      3051-3055
    • 出版者
      羊土社
  • [備考] RIKEN MIS-RCAI 免疫細胞システム研究グループ

    • URL

      http://web.rcai.riken.jp/en/labo/immunecellsystem/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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