ナチュラルヘルパー(natural helper; NH)細胞はIL-25やIL-33に反応し2型免疫反応を誘導する新しい自然リンパ球である。IL-25やIL-33は肺や腸管への寄生虫の侵入に伴い傷ついた上皮細胞や血管内皮細胞から放出されることが分かっている。一方、両サイトカインは寄生虫のもつ酵素に類似したアレルゲンが体内に入ったときにも放出されるため、NH細胞は寄生虫感染への防御とアレルギーの増悪の両方に関与する事が明らかになっている。 IL-33はIL-1ファミリーに属し、上皮細胞や血管内皮細胞の核内で常に作られており、アポトーシスではカスパーゼによって不活化されるが、ネクローシスでは活性化型のまま細胞外に放出される。炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)はネクローシスによるIL-33放出を伴う疾患で、NH細胞による2型サイトカイン産生が病態形成に関与する事が示唆された。腸管におけるNH細胞の分布を明らかにする為にフローサイトメトリーによる解析を行った結果、定常状態でNH細胞は基底膜より管腔側やパイエル板には存在せず、腸管粘膜固有層(LP)に存在することが明らかになった。また、炎症による著明な細胞数の変化は見られなかった。LPのNH細胞は肺や脂肪組織同様、IL-25やIL-33に反応することでIL-5やIL-13を多量に産生する事が明らかになったことから、IBD発症時にIL-33依存的な2型サイトカインを産生し、病態形成に関わることが示唆された。
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