研究課題
クローン病は徐々に腸管障害が蓄積する進行性疾患であり、腸管の線維化に伴う狭窄が手術理由の多くを占める。腸管線維化のよる狭窄への進展メカニズムは解明されておらず、適切な薬物治療や進行予防策は見出されていない。我々は末梢血fibrocyteに着目した。Fibrocyteは骨髄から供給される未分化細胞の一つで末梢血中ではCD34陽性細胞集団の一部として存在する。Fibrocyteは末梢血中からケモカインのシステムなどにより障害組織や炎症局所に浸潤し、その過程でfibroblastなどの局所に定着したコラーゲン産生細胞へと分化していく。我々はこの1年間でクローン病患者末梢血中にfibrocyteが増加していることを見出した。現在、患者背景因子と末梢血fibrocyteの相関を解析し線維化リスク因子の割り出しに着手している。さらにfibrocyteを標的とした線維化予防治療の開発のため腸管線維化モデルの開発に着手した。すでに慢性DSS誘発性腸炎において末梢血中にfibrocyteが出現し、その後腸管線維化が始まるという事実をつかんでいる。末梢血fibrocyteのダイナミクスをより詳細に解析するためcollagen-GFPマウスをすでに手に入れており、今後DSS腸炎での末梢血fibrocyteの可視化を試みるとともに、isolationしてその機能解析に取り組む予定である。またよりクローン病に近いモデルとしてTNF αAREマウスをギリシアから入手しており、同マウスにおいてcollagen産生fibrocyteの動態が他のモデルとどう異なっているのかを解析している。さらにfibrocyteのホーミング機能やcollagen産生性成熟細胞への分化メカニズムの研究成果をもとにそれらを抑制する低分子化合物のスクリーニングを開始すべく準備を始めている。
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