研究課題
炎症性腸疾患(IBD)は大腸の慢性炎症性疾患であり、寛解と再燃を繰り返すことを特徴とする。再燃を繰り返す要因として、自己類似腸内細菌に反応するIBD免疫病態のプロトタイプを記憶した腸炎惹起性CD4+メモリーT細胞の永続的潜在性が原因であることを、われわれは明らかにしてきた。そして、その維持にはIL-7と腸内細菌が必須であることを明らかとしてきた。本研究では、この腸炎惹起性CD4+メモリーT細胞を制御することで、IBDの再燃を抑制する治療法の開発につなげることを目的に検討を行い、下記の結果を得た。1. Naturally occurring Th17細胞はLymphoid tissue inducer-like cellによって誘導され、腸管の恒常性維持に必須であることを示した。2. Classical Th1細胞は単独では炎症を惹起することができず、Th17細胞を経由しTh1細胞に分化するalternative Th1細胞の存在下でのみ腸炎を惹起する能力を獲得できることを明らかにした。3. Probiotics製剤として用いられているClostridium butyricumが、腸管マクロファージからのIL-10産生を介して、抗炎症作用を有することを明らかにした。以上の結果より、IBDにおける慢性炎症の維持には従来考えられてきた単純なTh1/Th17バランスのみならず、alternative Th1やnatural occurringTh17も関与していることが示唆された。これらの細胞群を標的とする新規治療の開発に向けた知見が本研究で得られたと考えている。
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Immunology Letter
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