研究課題/領域番号 |
24659377
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60550952)
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研究分担者 |
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70550961)
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80228741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | mitophagy / ミトコンドリア / Parkin / C型肝炎ウイルス |
研究概要 |
われわれはこれまでにC型肝炎ウイルス(HCV)全遺伝子が組み込まれたトランスジェニックマウス(HCV TgM)を用いて、ミトコンドリア障害に起因する酸化ストレスが肝発癌に極めて重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。一方、このミトコンドリアに起因する酸化ストレスが持続、増幅されることが肝発癌過程には重要であると推測される。細胞内小器官の品質管理を行う機構としてオートファジーが注目されているが、障害されたミトコンドリアも同様にオートファジーによって処理(マイトファジー)され、レドックス制御の一つと考えられている。本研究ではHCV関連肝発癌過程においてマイトファジーの機能異常が存在するか否かを明らかにし、さらにはその分子機構を解明することを目的とし検討を行った。 HCV感染細胞とHCV トランスジェニックマウス、HCV感染キメラマウスを用いてHCVがマイトファジーについて検討を行い、そのメカニズムについて解析する。具体的にはマイトファジーにどのような影響を及ぼすか検討を行った。HCVコア蛋白のみが、マイトファジーの実行分子であるParkinと結合しマイトファジーを抑制することがわかった。さらにHCVコア蛋白がParkinのN末端側に結合することを明らかにすることができた。以上の結果はHCV関連発がんを考える上で持続的なミトコンドリア障害を証明しうる重要な治験と考えられた。さらにParkinの発現をknock outするとHCVの増殖が抑制されたことからParkinはHCVの増殖に関連すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
HCVがマイトファジーに及ぼす影響を明らかにすることができただけではなく、ParkinがHCVの増殖に深くかかわっているであろうことが新たな知見として発見できた。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアの品質管理機構であるマイトファジーが抑制される詳細なメカニズムについて検討していきたい。 具体的にはHCVコア蛋白のParkinの詳細な結合部位とその結合によりどのようなシグナル、あるいは構造変化が起こるかの検討を行っていきたい。またマイトファジーのkey分子であるParkinがHCV増殖にどのようにかかわっていくかを詳細に検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後two hybrd assay、免疫沈降、ウエスタンブロッドなどの方法が必要となるが、その際に用いる試薬、抗体、キットなどの購入に使用する。また現時点で一定の成果は得られたので、論文にかかる費用や学会の発表にかかる費用に充てたい。
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