研究課題/領域番号 |
24659377
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
原 裕一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60550952)
|
研究分担者 |
仁科 惣治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70550961)
日野 啓輔 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80228741)
|
キーワード | C型肝炎ウイルス / ミトコンドリア / Parkin / mitophagy / 肝発癌 |
研究概要 |
【目的】われわれはC型肝炎ウイルス(HCV)による酸化ストレスの亢進、ミトコンドリア障害と肝発癌の関連を報告してきた。一方障害を受けたミトコンドリアは選択的autophagy(mitophagy)によって排除されることが知られているが、HCVとの関連性は不明である。今回HCVがmitophagyを抑制し、障害ミトコンドリアが排除されず酸化ストレスを増強することで肝発癌を促進させるのではないかという仮説のもと、HCVがmitophagyに及ぼす機構について検討した。 【方法】 HCVクローンであるJFH1感染Huh-7細胞を用いてミトコンドリア脱共役剤を加えmitophagy制御分子の解析を行った。さらにHCV全遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(HCV-TgM)、HCVを感染させたヒト肝細胞キメラマウスを用いて同様の解析を行った。 【結果】In vitroにおいてPINK1のミトコンドリアへの局在及びParkinのリン酸化にはHCV蛋白の影響を認めなかったが、HCV存在下ではHCV非存下と比べミトコンドリアへの局在が抑制された。ParkinとHCVとの共免疫沈降ではコア蛋白とParkinの結合のみが確認された。またParkin cDNAをN末端側とC末端側に分けて作成し、two hybrid assayを用いてHCVコア蛋白との相互作用を検討したところ、N末端側のPakin タンパクと相互作用することがわかった。In vivoにおいてもParkinのミトコンドリアへの局在は抑制されていた。。 【結論】HCVによりミトコンドリア障害、酸化ストレスを惹起する一方で、障害されたミトコンドリアを消去する機構が抑制されていることは肝発癌における重要な知見と考えられた。またParkinが発癌抑制における新たなKey moleculeとなりうる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
HCVがマイトファジーに及ぼす影響を明らかにすることができただけでなく、HCVがマイトファジーを抑制したそのあとの細胞内への影響も明らかにすることができた。 またParkinがHCVの増殖に深くかかわっているであろうことが新たな知見として発見できた。
|
今後の研究の推進方策 |
HCVcore蛋白とParkinの詳細な結合部位とその結合を阻害する物質を同定していきたい。 またマイトファジーのkey分子であるParkinがHCV増殖にどのように関連していくのかを詳細に検討する。
|