蛋白質架橋酵素トランスグルタミナーゼ2(TG2)が発生に伴う生理的血管形成には影響せずに移植癌細胞による腫瘍血管形成に働くこと、すなわちTG2のKOや阻害剤は、選択的に腫瘍血管形成や線維化に伴う病的血管形成のみを抑えることを見出した。さらに、腫瘍や線維化に伴う病的血管新生にTG2がどのように働いているかを検討した結果、TG2によりRbタンパク質の架橋・リン酸化→転写因子E2Fの活性化→ヒストントリメチラーゼEZH2の発現上昇→内在性血管形成阻害因子vasohibin 1 (VASH1)の発現抑制という作用機序を見出した。今後TG2並びにこれらの標的分子の特異的阻害剤を見つけ出すことによって、線維化・癌を増悪させず、組織修復を可能にする技術開発の可能性を示唆した。
|