研究課題/領域番号 |
24659390
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤澤 宏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20396683)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 循環器・高血圧 / 遺伝子 |
研究概要 |
家族性拡張型心筋症(DCM)の病因変異である心筋トロポニンT遺伝子のΔK210変異をノックインしたDCMモデルマウスは、ホモ接合体ではヒトDCMと同様に、進行性の左室内腔の拡大と心機能の低下を呈し、心不全を呈して死亡することを確認している。ところが、DCM患者と同じヘテロ接合体は、野生型マウスと比較して心機能低下や心内腔の拡張が見られず、DCMの表現型を呈さないことを確認した。環境要因によるDCMの病態修飾について検討するために、ヘテロ接合体および野生型マウス二、① アンジオテンシンII(Ang II)(1.2 mg/kg/day)負荷、② Ang II(1.2 mg/kg/day) + 8% 食塩負荷、③ 高脂肪食/高ショ糖食負荷、を行い、心エコー法や組織学的な解析により心機能評価を行った。 4週間および6週間のAng II負荷、あるいはAng II + 8% 食塩負荷において、心肥大はヘテロ接合体において野生型よりも有意に誘導されたが、心機能低下や心拡大、線維化などの組織学的変化はヘテロ接合体と野生型とで有意な差は認められなかった。12週間および16週間の高脂肪食/高ショ糖食負荷において、摂餌量や体重、血糖や脂質などの血液生化学データに差は見られず、心機能低下や心拡大、線維化などの組織学的変化はヘテロ接合体と野生型とで有意な差は認められなかった。したがって、このDCMモデルマウスにおいては、高塩分食や高脂肪/高ショ糖食のような食事環境によっては、DCMの病態は修飾されないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究によって、DCMモデルマウスにおいて、DCM患者と同じヘテロ接合体は、高塩分食や高脂肪/高ショ糖食のような食事環境によっては、DCMの病態は修飾されないことが示唆された。いずれの環境要因も臨床的には重要性が高いだけに、予想外の結果であった。個々の実験に時間を要するために、出生前の栄養環境や運動環境についての解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画および研究体制に問題はないが、動物実験のスピードアップと効率化を図る。 研究代表者の赤澤の統括の下、大阪大学大学院医学系研究科の大学院生3名が動物実験および培養細胞実験を行っていく。また、連携研究者の小室との間で緊密に情報交換およびディスカッションを行い、研究課題を推進していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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