研究課題/領域番号 |
24659393
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣岡 良隆 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90284497)
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研究分担者 |
阿部 弘太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20588107)
岸 拓弥 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70423514)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 循環器・高血圧 / 生理活性 / 生理学 / 薬剤反応性 / 神経科学 |
研究概要 |
本研究は、肺高血圧における神経体液性因子の異常が病態の進展に如何に関与しているかを明らかにし、その機序としての分子機構をシステムに当てはめ、治療介入効果や方法を検討することによって、肺高血圧の新たな視点からの治療法開発を目指す。 肺高血圧では、神経体液性因子、特に、自律神経系に介入して、1.肺血管過収縮、2.肺血管リモデリング、3.右心不全の進展抑制を疾患モデル動物で検討した研究は国内外にない。左心不全や高血圧では自律神経系の役割がすでに確立されているのに対し、右心不全においては自律神経系の専門家による研究はない。申請者は、本研究成果をもとに“自律神経をターゲットにした肺高血圧の新たな治療”という分野を確立する。 初年度である平成24年度はまず、モデル動物の作成から開始した。肺高血圧モデル動物において、自律神経系の破綻が生じる時期や肺高血圧症と右心不全の進展への関与に関する検討(廣岡・岸・阿部)を行った。肺高血圧モデルとしてSHNモデル:VEGF受容体拮抗薬Sugen 5416皮下注に低酸素負荷を3週間行い、その後常酸素負荷を10週間行い肺高血圧モデルラットのひとつとして作成した。このモデルでカテーテルや心エコーによる血行動態(肺動脈圧、右室圧、血圧)、心機能を測定した。また、尿中ノルエピネフリン濃度測定による交感神経活性評価を行った。肺動脈圧・右室圧増加・尿中ノルエピネフリン濃度増加が生じた。病理学的には病態の進展とともに肺動脈の過収縮・リモデリングや血栓形成や特徴的な病理学的変化が認められた。 他のモデルとしてモノクリタリン皮下注による肺高血圧モデル作成、肺動脈バンディングによる右室負荷モデルを作成した。 SHNモデルでは肺抵抗血管の張力のエンドセリンに対する変化・エンドセリン拮抗薬に対する抑制効果を観察し得た。一部の成果は日本循環器学会学術集会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、モデル動物作成、血行動態の評価などを遂行できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は予定通り、各モデルでの血行動態と右心機能の変化、そして自律神経機能の変化との関連解析を進める。その上で交感神経抑制薬の効果を検討する。中枢性交感神経抑制薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の効果を検討する。薬剤の投与量の決定などは開始する時期により工夫が必要となることが考えられる。 次の研究計画である交感神経を制御する分子機構として一酸化窒素・活性酸素・炎症性サイトカインが肺高血圧から右心不全に至る経路として関わっているかの検討へ移る。 迷走神経刺激ではコリンエステラーゼ阻害薬の使用も計画にあるように進める。エンドセリン拮抗薬の効果は特にSHNモデルで有効性を確認できたため、論文化を目指す。 右室バンディングモデルなど他のモデルでの自律神経系の関与の検討を行う。 現時点で研究計画遂行における問題点は特にない。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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