研究課題/領域番号 |
24659394
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 准教授 (20381098)
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研究分担者 |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
永田 さやか 宮崎大学, 医学部, 助教 (00452920)
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キーワード | 新規生理活性ペプチド / オーファン受容体 / キメラ遺伝子 / FACS解析 / FRET解析 |
研究概要 |
複雑かつ精巧な循環調節機構をより明確にするためには、未知の生理活性物質を同定することが重要であり、我々は強力な降圧ペプチド(アドレノメデュリンAMおよびAM関連ペプチド2種)と昇圧ペプチド(proangiotensin-12)を発見してきた。しかも、循環系のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の 構造解析と機能解析で多くの実績がある。本研究の目的は、これまでに成功例のない探索法を用いて、循環系に高発現しているヒトのオーファンGPCR(リガンドが同定されていないGPCRの総称)の未知の生理活性ペプチドを網羅的に同定することである。 平成25年度は、平成24年度で獲得できなかったオーファンGPCR(循環系)のクローニングを行った。これらを当該研究のアッセイに適したタグ付きのキメラ遺伝子(標的オーファンGPCRのへリックス8の直前でカルシトニン受容体様受容体(CLR; GPCRの1つ)の配列に組換えた遺伝子)に改築し直した。これらのタグ付き遺伝子の安定発現株(クローン化)を独自の手法で樹立した。その確認は、FACS解析で行った。安定発現株の作製と並行して、ブタの循環系臓器とヒトの褐色細胞腫の組織抽出物をすべて獲得した。ブタの場合、臓器の構造と各遺伝子の配列が、ヒトに極めて類似しており、入手も容易であるというメリットがある。また、ヒトの褐色細胞腫(手術時に入手)は精製が容易である。 現在、我々の新規のリガンド探索法を発案した(オーファンGPCRのcAMP産生と細胞内移行を必ず惹起させる方法およびオーファンGPCRに作用するGPCR修飾蛋白もしくは非オーファンGPCRをすべて同定するための簡易スクリーニング法)を複合的に駆使して、新規の循環調節ペプチドの単離・同定を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目的のオーファンGPCR(G蛋白共役型受容体)のクローニングが完了していない。それに伴い、タグ付き遺伝子やそれらのキメラ遺伝子の構築、さらには、これらの安定発現株の樹立が当初の予定より遅れている。 今回、我々が独自に考案した斬新な方法論(オーファンGPCRの細胞内C末端近位部のへリックス8(右巻きらせん構造)の直前でカルシトニン受容体様受容体(CLR)のものと普遍的に組換えるという画期的なアイデアに基づいたストラテジー)の再現性の高さの確認を必要がある。そのために、既知のGPCR同士の組換え体(キメラ)を独自に複数作製して、本実験の再現性と普遍性を確認中である。その確認作業にかなりの時間を要していることが、本研究の遅れの最大の要因になっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度で完了しなかった実験を精力的に進める。我々が独自に考案した方法論の再現性・普遍性の高さを確認する作業も進める。精製を繰り返し行う過程で、組織抽出物の不足が生じる。そのため、ブタの循環系の臓器も追加で大量に抽出し、前年度と同じ方法で精製を勧める。 単独で細胞膜に発現できる非オーファンGPCRに1回膜貫通型の修飾蛋白が作用すると、リガンドの特異性が変化する。従って、単独で細胞膜に発現できるオーファンGPCRと複合体を形成する修飾蛋白も引き続き行い、前年度の手順でリガンドの特定を目指す。 最終精製物質を獲得し次第、当教室のプロテインシークエンサーとマススペクトロメトリー(MS)を用いて、それらの構造を決定する。未知のペプチドの場合、体内分布と生理作用(循環作用)を明らかにする。既知の場合、GPCRの細胞内情報伝達や構造・活性相関を詳細に調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.申請当初から、研究費の多くを消耗品に充てているが、今回、その消耗品の値段を安価におさえるようにしたため。 2.共同研究先の大型研究費から消耗品を購入(100万円)できたため。 1.今年度は、共同研究先の大型研究費から消耗品を購入できそうにないため、大半を消耗品の購入に充てる予定である。 2.研究の推進のために、出張回数を増やす予定である。
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