研究課題
先ず、iPS細胞をBasic DM培地にActivin とWntを加えることにより7日間培養し内胚葉系へと分化させた結果、内胚葉系マーカーであるSox17とFOXa2の発現増強をリアルタイムPCRで確認した。次に、培地をSABMに変えFGF2を加えて5日間培養を継続し肺上皮細胞への分化誘導を試みた。その結果、TTF-1およびSP-A,B,C.Dの発現上昇をmRNAレベルで確認した。違う培地を検討した結果、上述の培地が最も分化することが判明し以降の実験を行った。更に、SP-Cの発現を免疫蛍光染色およびフローサイトメーターで確認したところ、8%以上の細胞でSP-C蛋白の発現が確認された。違う培地を検討した結果、一方、Air-liquid interface cultureをこの分化実験のあとに引き続き行ったが、これ以上の分化率の向上は認めなかった。次に、in vivo実験の準備として、マウス肺から細胞成分を除いた構造物スキャフォールドの作製を試みた。マウス肺と心を一塊として摘出し、気道および動脈からSDSとTritonXを含む溶液を注入して一晩静置して洗浄した。その結果、細胞成分は除去されたが細胞外基質が保持された構造を作ることができ、マウス肺スキャフォールドの作製に成功した。このスキャフォールドに未分化iPS、線維芽細胞、分化iPS細胞を気道より注入し、肺スキャフォールドを薄切して3次元培養を12日間行った。その結果、分化iPS細胞でのみ、肺胞構造の再構築が確認された。今後、この3次元培養の組織を肺胞II型マーカーSP-Cおよび肺胞I型マーカーT1aで染色し、分化を確認する計画である。
1: 当初の計画以上に進展している
H24年度の計画は①各種因子を用いたiPS細胞の肺上皮への分化誘導、②Air-liquid interface cultureによる分化効率向上の有無、③肺胞上皮の分化の確認、④摘出肺からのスキャフォールドの作成であるが、全ての実験を行い、有望な結果を得た。更には肺スキャフォールドにiPS細胞を移入して3次元培養を前倒しで実験することができた。
肺スキャフォールドに移入した分化iPS細胞が正常な肺胞構造を再構築しているか、肺胞II型細胞やI型細胞に分化しているか免疫蛍光染色法を用いて検討する。また、ブレオマイシン肺障害マウスに分化iPS細胞を移植しえ肺障害の軽減の有無を検討する。
次年度使用額なし。
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