研究課題
前年に引き続き、マウスiPS細胞をin vitroにおいて肺胞上皮細胞へと分化させ、この分化細胞を用いて実験を継続した。マウス摘出肺より作成した肺スキャフォールドに、肺胞上皮細胞へと分化させたiPS細胞を移植し、12日間培養を行い、解析した。その結果、肺胞構造の再構築が認められ、肺胞II型細胞マーカーSP-Cおよび肺胞I型細胞マーカーT1aの発現が確認された。一方、線維芽細胞移植群では、細胞は肺胞の間質に存在し、肺胞上皮細胞マーカーSP-CとT1aの発現は全く認めなかった。また未分化iPS細胞移植群では、極めて少数の細胞が肺胞上皮細胞マーカーSP-CとT1aを発現していたのみであった。次にブレオマイシンによる肺傷害モデルマウスにこの分化iPS細胞を移入してその効果を解析した。ブレオマイシン投与翌日に、経気道的に細胞を移入した。移入後12日後に気管支肺胞洗浄を行ったところ、分化iPS細胞投与群でのみTNF-aやIL-6といった炎症性サイトカインが正常肺レベルまで減少していることを確認した。更に、組織学的および肺に含まれるハイドロキシプロリンの定量からも肺の線維化の抑制が確認された。一方、PKH26でラベルした分化iPS細胞が移入12日後も、肺胞上皮として移植されてるかどうか確認したが、少数の分化iPS細胞が肺胞上皮細胞として生存していることが確認されたのみであった。このことは、ブレオマイシン肺障害における肺再生効果は、分化iPS細胞が肺胞上皮として機能すると共に、分化iPS細胞が分泌している増殖因子が肺再生に関与していることを示唆する。
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Stem Cells Translational Medicine
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