研究課題
欧米におけるゲノムワイド関連解析研究(genome-wide association study; GWAS)では、ニコチン受容体やドパミン水酸化酵素などニコチン作用に影響を与える遺伝子多型と喫煙行動との関連が報告されている。本研究は日本人においてニコチン依存に強く関連している遺伝子多型を同定するものである。1369名の健診受診者を対象に喫煙歴の有無(非喫煙者865名)及び喫煙指数(333名がSmoking Index>200)を対象にゲノム網羅的な遺伝子解析を実施し、これまで欧米を中心に報告されてきた喫煙行動に影響を与える複数の遺伝因子の日本人における影響を検討した。具体的には、3回以上の独立した候補遺伝子関連解析、あるいは1回以上のGWASで報告された16の遺伝子(領域)を対象とした。これらの遺伝子はすべて、(1)ニコチンの薬理作用に関係する遺伝子、あるいは(2)ニコチンの薬物動態に関係する遺伝子であった。喫煙依存の指標として、喫煙状況(現在、過去、非喫煙)および喫煙指数(SI200未満および200以上)を用いた。HTR2A (serotonin 2A receptor) およびNRXN1 ( neurexin 1)において、いずれの指標とも有意な遺伝的関連が認められた(p=0.05-0.0001)。少なくともこれらの遺伝子群は、人種を越えて喫煙行動に関係していると考えられた。次に、これらの遺伝因子の影響が禁煙治療の効果と関連するかどうかを検討した。現在、チャンピックスまたはニコチンパッチを8週間使用し、禁煙の成否が判明した症例56例について解析可能である。日本人において喫煙行動と関連が再現された遺伝因子は、56名においても喫煙指数や初診時の呼気COとの間に遺伝的な関連を認めた。一方、禁煙治療の成否には明らかな遺伝的な影響は認められなかった。喫煙への依存を規定する遺伝因子は、必ずしも禁煙治療の成否とは関連しないことが伺われた。
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