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2012 年度 実施状況報告書

脱ユビキチン酵素と細胞表面分子の会合による悪性中皮腫の病態制御機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24659401
研究機関順天堂大学

研究代表者

森本 幾夫  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30119028)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードCD26 / USP22 / 脱ユビキチン酵素 / 悪性中皮腫 / CD9 / β1インテグリン / β1α5
研究概要

悪性中皮腫細胞株を用いてCD26及びCD9は悪性中皮腫癌幹細胞の特性を示すマーカーであることを今までに報告した。CD26、CD9とも種々の細胞表面分子と会合しているとされていることから、悪性中皮腫細胞株でのCD26及びCD9との関係を検討した。CD26はCD26抗体処理により細胞表面上からinternalizeして発現が減少し、同時にCD9の発現も減少した。CD26抗体による免疫沈降によりCD26に加えてCD9も共沈し、CD26はCD9と細胞表面上で会合していることが示唆された。更に、中皮腫細胞株からCD26をknockdownしたところCD9の発現は上昇し、CD26を強発現させたところCD9の発現は減少した。またCD9のknockdownによりCD26発現は上昇した。このようにCD26及びCD9は中皮腫細胞株では逆性に相関して会合していることが示唆された。
次にこの会合の生物学的意義を検討した。CD26+CD9+陽性中皮腫細胞はCD26-CD9+細胞と比して強い浸潤能を有し、CD26をknockdownすることで浸潤能が低下することから、CD26は細胞浸潤能に重要な役割を果たしていることが示唆された。またCD9のknockdownによりCD26+陽性中皮腫細胞の浸潤能は更に亢進し、CD26陽性細胞株へのCD9の発現により細胞浸潤を抑制した。β1インテグリンは細胞浸潤に重要なことから、これら分子とβ1インテグリンとの関係も検討した。CD26はβ1α5とも会合して細胞浸潤に重要な役割を果たしCD9はβ1α5の発現を負に制御することで細胞浸潤を抑制していることが明らかになった。更にCD26は脱ユビキチン酵素USP22との発現とも相関していることから今後USP22、CD26、CD9の分子間の相互作用とその機能の関係にfocusする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、悪性中皮腫においてCD26分子はどのようなシグナル伝達系を介して特にUSP22と相互作用を行い、モノユビキチンH2B、H2Aを介して特にUSP22と相互作用を行い、モノユビキチンH2B、H2Aを介して悪性中皮腫の細胞増殖、浸潤などの機能に影響を与えるのかその分子機構を明らかにとすることを目的としている。
本年度はCD26とUSP22との会合の分子機構及びその生物学的意義の研究を進めているが更にCD26と伴に中皮腫癌幹細胞マーカーの特性を示すCD9分子とCD26との関係についての研究成果をまとめ上げ現在投稿原稿として最終仕上げを行っているところである。
研究実績概要にあるようにCD26とCD9は中皮腫細胞株上で会合しているがその生物学的意義としてCD26は悪性中皮腫細胞ではβ1インテグリンα5とも会合し、相互作用を介して細胞浸潤に関与し、CD9はこの機能を制御していることが示唆され、USP22に加えてCD9という新たな分子も関与していることが明らかに出来た。
本年度はUSP22、CD26、CD9、β1インテグリンα5分子がいかに悪性中史種の細胞増殖、浸潤に関与しているのか更に検討する予定である。

今後の研究の推進方策

CD26分子は細胞表面マーカーとしての役割のみならず細胞外からの刺激を細胞内に伝達して機能発現を誘導する役割を担うことが明らかとなりつつある。悪性中皮腫においてCD26はどのようなシグナル伝達系を介して脱ユビキチン化酵素USP22と相互作用を行いuH2B、uH2Aを介して悪性中皮腫の転移、浸潤などの機能に関与しているのかその分子機構を明らかにする予定であるが今後CD26はUSP22に加えてβ1インテグリンα5分子及びCD9分子とも会合していることを明らかにしたことからこれらの分子間の相互作用を通じて、CD26分子はいかなる分子機構で悪性中皮腫細胞の増殖、浸潤、転移に関わっているのかを解明する予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究費については、下記に係る費用の使用を計画している。
・CD26、USP22ノックダウン中皮腫細胞株の免疫不全マウスへの移植実験
・中皮腫細胞株において、USP22、CD26、CD9分子のノックダウンにより動く下流の新規シグナル伝達系とシグナル分子を明らかにするためにマイクロアレイ解析
・癌幹細胞の最新の研究動向の調査及び共同研究打合せのための海外出張
・その他in vitro、in vivo実験のための細胞培養、免疫学、生化学、遺伝子工学試薬などの消耗品類
・本研究、実験補助業務に対する謝金

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Multiple effects of repetitive transcranial magnetic stimulation on neuropsychiatric disorders.2013

    • 著者名/発表者名
      Ikeda T, Kurosawa M, Morimoto C, Kitayama S, Nukina N.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 436 ページ: 121-7

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.03.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CD26-mediated costimulation in human CD8+T cells provokes effector function via proinflammatory cytokine production.2013

    • 著者名/発表者名
      Hatano R, Morimoto C, et al.
    • 雑誌名

      Immunol.

      巻: 138 ページ: 165-172

    • DOI

      10.1111/imm.12028

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CD9 expression as a favorable prognostic marker for patients with malignant mesothelioma.2013

    • 著者名/発表者名
      Amatya VJ, Morimoto C, et al.
    • 雑誌名

      Oncol Rep.

      巻: 29 ページ: 21-28

    • DOI

      10.3892/or.2012.2116

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cardiomyocyte-Specific Overexpression of HEXIM1 Prevents Right Ventricular Hypertrophy in Hypoxia-Induced Pulmonary Hypertension in Mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshikawa N, Morimoto C, et al.
    • 雑誌名

      PLoS One.

      巻: 7 ページ: e2522

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0052522

  • [雑誌論文] Impact of the Integrin Signaling Adaptor Protein NEDD9 on Prognosis and Metastatic Behavior of Human Lung Cancer.2012

    • 著者名/発表者名
      Kondo S, Morimoto C, et al.
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res.

      巻: 18 ページ: 6326-6338

    • DOI

      10.1158/1078-0432.CCR-11-2162

  • [学会発表] Humanized anti-CD26 mAb Leads to Prophylaxis and Treatment of GVHD in Hu-PBL-NOG Model Mice.2012

    • 著者名/発表者名
      Hatano R, Morimoto C, et al.
    • 学会等名
      第74回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      京都, 日本
    • 年月日
      20121019-20121021
  • [学会発表] First‐in‐Human Phase I administration of YS110, a humanized monoclonal antibody directed against the CD26 molecule in cancer patients.2012

    • 著者名/発表者名
      Angevin E, Morimoto C, et al.
    • 学会等名
      37th The European Society for Medical Oncology (ESMO) Congress
    • 発表場所
      Vienna, Austria
    • 年月日
      20120928-20121002
  • [学会発表] CD26 overexpression is associated with prolonged survival and enhanced chemosensitivity in malignant pleural mesothelioma.2012

    • 著者名/発表者名
      Aoe K, Morimoto C, et al.
    • 学会等名
      11th International Conference of the International Mesothlioma Interest Group
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      20120911-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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