研究課題
緑色蛍光タンパク(EGFP)及び発光酵素(Luciferase)遺伝子を導入したヒトがん細胞株PC14PE6、KM12SM、LC319/bone2、NUGC4が、これら遺伝子の入っていない親株と同様にSCID(重度複合免疫不全)マウスの脳に生着するか確認する為、SCIDマウスの頭蓋内に各細胞株を移植した。移植後1週間以上生存していたマウスについては、頭蓋内に腫瘍が形成され、継時的に発光強度が増大することをin vivo イメージングにより確認した。ヒトがん細胞株5株PC-9、PC14PE6、KM12SM、LC319/bone2、NUGC4について、血管新生関連因子の産生量をELISAにより測定した。この測定結果から、転移能の高い細胞においては、血管新生関連因子の産生量が比較的多かったことより、治療標的になり得ると考えられた。そこで、SCIDマウスの頭蓋内にヒトがん細胞を移植し、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)を阻害する薬剤を投与することで治療効果を検討した。移植の際にマウスの生存率が比較的高いKM12SM/ELuc-EGFPを頭蓋内に移植し、血管新生阻害薬であるモノクローナル抗体(100μg/mouse)を週1回腹腔内投与、in vitroに於いて効果のあった小分子化合物(50mg/kg)を連日経口投与した所、抗体投与群(N=2)については治療効果がなく、治療開始7日後にはマウスが2匹共死亡した。一方、小分子化合物投与群(N=3)では、若干であるが2匹で抗腫瘍効果が認められた。今後、匹数を追加し、これら血管新生阻害薬の抗腫瘍効果を評価する予定である。
すべて 2015
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Cancer Science
巻: 3 ページ: 244,252
10.1111/cas.12600