研究実績の概要 |
CD26 dipeptidyl peptidase IV(DPPIV)は腎臓や血管内皮に発現していることから、血清可溶性CD26が糸球体腎炎、血管炎及び膠原病に伴う腎障害において疾患活動性の有力なバイオマーカーとなる可能性が推測される。そこで生物学的製剤による治療を要する関節リウマチ患者におけるCD26DPPⅣの疾患活動性に関して検討した。なお本研究に関しては東京大学医科学研究所倫理委員会の審査にて承諾を得た。対象は31名の関節リウマチ患者であった。追跡期間は約28週、DAS28-ESR:5.98±1.28, DAS28-CRP:5.32±1.26であった。ベースラインのsCD26は、RA活動性の指標であるDAS28-ESRおよびDAS28-CRPのいずれとも、有意な負の相関を示した。この事から、sCD26が低いほどRAの活動性が高いことが示唆された。更にsCD26の変化量は、DAS28-ESRおよびDAS28-CRPのいずれの変化量とも有意な負の相関を示した。この事から、sCD26の変化はRA活動性の変化を良好に反映することが示唆された。ベースラインのsCD26-DPPIVは、DAS28-ESRとは有意な相関を示さなかった一方で、DAS28-CRPとは有意な負の相関を示した。以上のことから、炎症性疾患においてCD26DPPⅣは疾患活動性の有力なバイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。
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