研究課題/領域番号 |
24659421
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
青木 正志 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70302148)
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研究分担者 |
加藤 昌昭 東北大学, 大学病院, 助教 (50622479)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 筋疾患 / 封入体を伴う筋疾患 / 次世代シークエンサー / プロテアソーム |
研究概要 |
当科で診療を続けている常染色体優性遺伝形式をとるMyofibrillar myopathy(MFM)の家系では、下垂足を初発症状とし、遠位筋、胸郭、肩甲帯を主体とした慢性進行性の筋萎縮と筋力低下を呈するが、比較的早期に呼吸不全を合併する点に特徴がある。本家系の中の罹患者5名、非罹患者5名の計10名について遺伝子解析の同意を得た。連鎖解析を行った結果、LOD score>2の領域を5箇所に同定した。罹患者のみに共通するエクソン・スプライシング領域の変異を64個検出した。その内titinの変異c.90263G>T, p.W30088Lのみが上記の連鎖領域内に存在した。シークエンスした結果、segregationに矛盾なく、本変異が原因変異であると結論づけた。titinは、現在まで前脛骨筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2J)の原因遺伝子として知られてきたが、次世代シークエンサーの普及に伴い、MFMの病理像を呈するHereditary myopathy with early respiratory failure(HMERF #603689)の原因遺伝子として近日国外から数例の報告が続いている。これらの変異はtitinのA-bandドメインの特定の領域に集簇しており表現型との強い相関を持つことが示唆された。 またMFMの病態に重要と考えられるプロテアソームの骨格筋での役割を調べるため、26Sプロテアソームのサブユニットpmsc4/Rpt3の一部をlox 配列で囲んだfloxed Rpt3マウスを筋特異的Cre発現マウスと掛け合わせた。mlc1f-Rpt3のhomozygoteマウスは対象に比較して体重が約50%と成長・発達の過程に異常が見られた。蛋白レベルの詳細な解析からオートファジーの経路も障害されていることを示すなど解析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
エキソームシークエンスによりCPM家系の遺伝子変異部位をtitinと同定することができ、査読論文としてまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
プロテアソーム欠損マウスにおけるCPM原因遺伝子の検討 単純にプロテアソーム系の遺伝子を欠失させると胎生致死になってしまう。京都大学神経内科との共同研究により26Sプロテアソームの19S lid部分のサブユニットpmsc4/Rpt3のコンディショナルノックアウトマウスを準備し、骨格筋特異的Cre発現マウスと掛け合わせ、異常蛋白蓄積の表現型を得ている。本マウスとCPM、IBMとの相違について詳細に検討し、骨格筋の封入体形成のモデルとしての有用性について生理学的検査等で評価する。 次世代型シークエンサーによるIBM筋における網羅的遺伝子発現解析 次世代型シークエンサー(Applied Biosystens社 SOLiD)によってIBM筋から採取したmRNAからcDNAライブラリーを構築し全cDNAの配列を決定する。特に稀有な姉妹例での解析を中心に行い、疾患感受性遺伝子の同定に結び付けたい。生検筋の解析が比較的容易にできることが筋疾患病態解析の利点でありトランスクリプトーム・プロテオームデータを補完する事により, IBM病態における免疫応答・筋変性過程を多角的に明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の申請計画通り遺伝子解析関係試薬、抗体、primer oligoDNA作成、ガラス器具、細胞培養用血清等、Lipofection試薬、マウスの購入費として用いる。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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