研究課題
シナプスは神経変性疾患において最も早期に障害される部位であり、運動ニューロン疾患においても、神経と筋を連結するシナプスである神経筋接合部が初期病変の主座である可能性が示されているが、その分子病態は解明されていない。本研究では、運動ニューロン疾患のひとつである球脊髄性筋萎縮症(SBMA)のマウスモデルを用い、神経筋接合部の超微形態解析・遺伝子発現解析を行い、初期病態の分子メカニズムを解明するとともに、運動による神経筋クロストークの変化を解析し活動依存性の分子病態を明らかにする。昨年度のマイクロアレイ解析により、SBMAマウス骨格筋(前脛骨筋)の神経筋接合部では6週齢(神経症状の発症前)の神経筋接合部においてTGF-beta receptor, type I/II extracellular region , regulation of insulin-like growth factor receptor signaling pathwayなどの機能を有する分子の発現が亢進し、calcium ion binding, metal ion bindingなどの機能を有する分子の発現が低下していることが判明したため、本年度は定量RT-PCRや免疫組織化学を用いてデータのバリデーションを行った。その結果、Ret、TRPC6などの遺伝子発現がSBMAマウス骨格筋の神経筋接合部で低下していることが明らかとなった。また、SBMAマウスモデルに対し運動負荷を行ったところ、とくに運動障害の発症前に負荷を開始するとマウスの運動機能が改善し、神経筋接合部を含めた病理学的所見も改善することが示された。一方、運動機能障害の発症後に運動負荷を行っても表現系の改善が認められないことが明らかとなった。今後、運動負荷時の神経筋接合部などにおける遺伝子発現変化について解析する必要がある。
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