研究課題
前年度までに開発を行った、小胞体内におけるストレスをリアルタイムで可視化するためのシステムである改変GFP(MERO-GFP)の励起波長の遷移を利用した新しい小胞体ストレスモニターシステムについて、薬剤による動的な波長比率の変化を薬剤濃度および時間を振って詳細に解析を行った。また前年度までに行っているNSC34細胞のほかに膵β細胞であるINS1やHEK293細胞にもMERO-GFPを発現させると、やはり細胞は酸化還元状態の変化にともなって励起波長比が変化することを確認した。小胞体における重要な酸化還元因子であるERO1αとPRDX4をHEK293細胞で用意し、MERO-GFPの波長変化を観察したところ、ERO1α、PRDX4の発現抑制は、どちらもDTTによる波長変化を濃度依存的に増強した。NSC34細胞と同様に他の哺乳類細胞でも一過性小胞体ストレスによる波長変化は再現性を持って確認できたが、やはり酵母の系と比較すると極めて変化が軽微であった。このことは、哺乳類細胞の小胞体内は酸化状態にシフトするようなメカニズムが恒常的に機能しており、酵母の小胞体のように単純にタンパク質のS-S結合の量の変化が直接酸化還元状態に反映しているわけでないことを示唆している。また神経変性疾患への応用のために小胞体ストレスに関与が示唆されているALS/FTLDモデルマウスであるFUS抑制マウスモデルの構築も同時に行い、モデルが完成している。これらのモデルマウスへの応用を実現するためにも、より基礎的なメカニズムを明らかにし、システムを鋭敏なものに改善していく必要がある。このシステムの詳細については論文化を行い、Laboratory Investigation誌に発表した。
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