研究課題
セロトニン神経作用薬としてbuspironeを用いる予定であったが,昨年度は,セロトニン1Aレセプターフルアゴニストの8-OH-DPATがアストロサイトの抗酸化機構グルタチオン,メタロチオネインの発現を最も増加させる賦活化作用を有し神経保護効果を発揮することを明らかにできたので,本研究でのセロトニン神経作用薬として8-OH-DPATを用いることとした..また,筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスであるヒトSOD1G93A mutant transgenic mice (G93A)を用いて発症時期,生存期間,罹病期間,体重変化,rotarod test等による運動機能の変化を評価し,8-OH-DPAT投与開始時期を発症前投与では8週齢からとした.今年度は,ALSモデルのヒトSOD1G93A mutant マウスに8-OH-DPATの発症前からの連日投与および発症後からの連日投与を行い,発症時期,生存期間,罹病期間,運動障害を評価した.8-OH-DPATの発症前(9週齢)からの連日投与により発症遅延効果が認められた.また,8-OH-DPATを運動症状発現後から連日投与したところ投与5-6周目から懸垂試験や開脚反射での運動障害の進行を抑制する効果がみられた.経時的(13週齢,16-17週齢)に,頸髄,胸髄,腰髄を取りだし組織切片を作成した.ALSモデルを用いた行動学的検討で,発症前および発症後からの8-OH-DPAT連日投与の発症遅延効果および進行抑制効果を明らかにすることができた.
2: おおむね順調に進展している
本年度は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスを用いた行動学的検討により,8-OH-DPAT投与の発症遅延効果および進行抑制効果を明らかにすることができた.
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスにセロトニン1Aレセプターフルアゴニスト8-OH-DPATの発症前および発症後からの連日投与を行い行動学的に発症遅延効果および進行抑制効果がみられた検討において経時的に取り出した脊髄切片を用いて,脊髄運動神経の変性,アストロサイトの抗酸化分子およびグルタミン酸トランスポーターの発現変化を評価し,8-OH-DPATの発症遅延効果,進行抑制効果と組織学的な運動神経障害との関係について検討する.また,G93Aマウス脊髄からの運動神経+アストロサイト共培養系を作製し,運動ニューロン細胞死に対する8-OH-DPATの保護効果を検討する.
次年度に行う予定にしていた培養実験を初年度に先に行ったために,動物実験に必要として計上していた経費の一部にあたる345,695円を次年度に使用することとなった.次年度平成26年度の請求研究費とあわせて,動物実験,培養実験のための消耗品費として使用する予定である.
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