研究課題
昨年度までに,セロトニン1Aレセプター作用薬のうちフルアゴニストの8-OH-DPATがアストロサイトの抗酸化機構グルタチオン,メタロチオネインの発現を最も増加させる賦活化作用を有し,培養細胞系において神経保護効果を発揮することを明らかにし,さらに筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルのヒトSOD1G93A mutant マウスへの8-OH-DPATの発症前(9週齢)からの連日投与により発症が遅延すること,運動症状発現後からの連日投与により運動障害の進行が抑制されることを見出した.今年度は,SOD1G93A mutant マウスに8-OH-DPATを運動症状発現後(10週齢)から連日投与し,経時的(3週後,6週後)に,頸髄,胸髄,腰髄の組織切片を用いて組織学的評価を行った.Nissl 染色を行った結果, 8-OH-DPAT 投与3週後のマウスにおいて,頸髄・腰髄の前角における運動神経細胞数の低下が有意に抑制され,特に頸髄においては保護効果が顕著であった.また 8-OH-DPAT 投与6週後でも,頸髄前角の運動神経細胞数の低下が有意に抑制され,腰髄においても抑制傾向がみられた.胸髄では,神経細胞の保護効果は見られなかった.さらに, 8-OH-DPAT 投与により, MT を発現している GFAP 陽性活性化アストロサイトの割合が,頸髄および腰髄の前角において有意に増加していた.本研究により, 8-OH-DPAT は ALS モデルマウスの頸髄・腰髄において運動神経保護効果を発揮することが明らかになった.また, 8-OH-DPAT 投与によるアストロサイトにおける MT 発現誘導が,運動神経保護効果に関与する可能性が示唆された.
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (13件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Neurosci. Lett.
巻: 588 ページ: 29-35
10.1016/j.neulet.2014.12.052
Am. J. Physiol.-Renal Physiol.
巻: 306 ページ: F105-115
10.1152/ajprenal.00034.2013
Biol. Pharm. Bull.
巻: 37 ページ: 327-330
http://dx.doi.org/10.1248/bpb.b13-00749
Pharmacol. Biochem, Behav.
巻: 122 ページ: 240-245
10.1016/j.pbb.2014.04.003
PLoS ONE
巻: 9 ページ: e97918
10.1371/journal.pone.0097918
Neurotox. Res.
巻: 26 ページ: 285-298
10.1007/s12640-014-9480-1
Epilepsia
巻: 55 ページ: 1558-1567
10.1111/epi.12750
巻: 9 ページ: e106362
10.1371/journal.pone.0106362
Acta Med. Okayama
巻: 68 ページ: 317-322
http://escholarship.lib.okayama-u.ac.jp/amo/vol68/iss6/1
J. Pharmacol. Sci.
巻: 124 ページ: 313-319
http://dx.doi.org/10.1254/jphs.13R19CP
http://www.okayama-u.ac.jp/user/mnb
http://www.okayama-u.ac.jp/user/brainsci