研究課題
RNA結合タンパク質TDP-43が蓄積して発症する筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭葉型認知症の病因解明のため、その変異がこれらの疾患の発症原因として同定されたVCPの作用について、生化学的手法と高速原子間力顕微鏡(AFM)による観察によって解析した。線虫由来のVCPホモログCDC-48についてATP存在下でN-D1リングのD2リングに対する回転運動を高速AFMで解析し、その結果をStructure誌に発表した。その後、ヒトVCPについても同様の結果を得ている。Structure誌の論文の中で、VCPのぶるぶると震えるような運動がアミロイド線維等凝集体の脱凝集に働くモデルについて論じた。昨年度、VCPがTDP-43のアミロイド線維に結合し、有意な脱凝集活性を認めたので、本年度は脱凝集活性をより明確に示すことをめざしたが、トラップ変異GroELでは脱凝集した単量体のTDP-43を捕まえることができなかった。トラップ変異Hsp104による解決を試み、トラップ変異Hsp104の構築まで完了したが、これを用いた実験はまだできていない。疾患関連変異VCPがTDP-43線維との結合性が低下することを昨年度明らかにしたが、これらの変異VCPを高速AFMで観察したところ、野生型に比べイメージが不鮮明であることが分かった。おそらくNドメイン等が不安定で揺らぎが大きいものと推察される。VCPと近縁のHsp104の脱凝集活性についての研究については、最近報告された脱凝集活性の上昇する変異体の構築を行っており、これについてTDP-43アミロイド線維を始め各種疾患関連アミロイド線維に対する脱凝集活性とそのHsp70依存性について検討する予定である。
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Structure
巻: 21 ページ: 1992-2002
10.1016/j.str.2013.08.017. Epub 2013 Sep 19.
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