研究課題/領域番号 |
24659434
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
富山 貴美 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10305633)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 病理伝播 / マイクロダイアリシス / Aβ / タウ |
研究概要 |
本研究は2匹のマウスの脳にマイクロダイアリシスをセットし、それをチューブで連絡して、一方のマウスの神経細胞から分泌された可溶性のAβやタウを別のマウスの脳へ直接還流して病理が伝播するかどうかをみる研究である。 今年度はドナー側マウスの種類と月齢の選定を行う予定であったが、タウのドナーとなるイントロン変異タウTgマウス(申請者らが作製したもの)の解析に時間がかかり、マイクロダイアリシスの実験そのものはあまり進んでいない。 我々が作製したイントロン変異タウTgマウスは、幼若期には3リピート、4リピート両方のタウを発現するが、4カ月齢ですでに4リピートタウ優位となり、6カ月齢からタウの異常リン酸化とともにシナプス機能障害や認知機能障害、シナプス消失がみられ、12カ月齢でミクログリアの活性化、24カ月齢でアストロサイトの活性化やGallyas染色陽性となるタウ封入体の形成、ニューロン消失が起こることがわかった。 したがって、病理伝播の実験には24カ月齢のマウスを使えば確実であろうが、マウスの飼育には多大な費用と労力が要求されるので、次善の策としてミクログリアの活性化がみられる12カ月齢以降のマウスをタウのドナーとして用いることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上述のように、タウのドナーとなるイントロン変異タウTgマウスの解析に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
Aβのドナーとしては、12カ月齢以降のE693Δ変異APP-Tgマウス(申請者らが作製したもの)とAPP23マウス(外部から導入したもの)を用いる。タウのドナーとしては、12カ月齢以降のイントロン変異タウTgマウスを用いる。 まず、これらのマウスの脳にマイクロダイアリシスをセットし、実際にAβやタウが細胞外に分泌されていることを、脳還流液を回収してELISAで測定する。すでに数匹のマウスで実験を行っており、脳還流液中にタウが検出された。さらに実験を行って、脳還流液中のAβやタウがオリゴマーを形成しているかどうかをウェスタンブロット等で確認する。 次に、2匹のマウスの脳にマイクロダイアリシスをセットし、それをチューブで連絡して、一方のマウスの脳還流液を別のマウスの脳へ還流する実験を行う。3日間ほど還流を行い、数日後に脳を取り出して、免疫組織化学により病理伝播の有無を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの飼育費用、およびマイクロダイアリシスの消耗品、ELISAキット、組織化学用試薬の購入に使用する。
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