研究課題
近年、筋萎縮性側索硬化症(ALS)はTDP-43/FUSなどRNA結合蛋白質の凝集・蓄積、核内からの消失により発症すると考えられるようになったが、ごく最近RNA 内のGGGGCCリピート配列の異常伸長が多くのALSの原因遺伝子異常として発見された。本研究では、遺伝子異常あるいはRNAストレスなどによるRNAの異常蓄積がRNA結合蛋白質の凝集・蓄積を引き起こして神経毒性を獲得するという仮説に基づき、ALSの発症分子メカニズム解明を目指して、以下の研究を行った。1)異常伸長GGGGCCリピートを発現するALSモデルショウジョウバエの樹立とその病態解析前年度に樹立したGGGGCCリピート配列(野生型:9リピート、異常伸長:50、100リピート)を発現するトランスジェニックショウジョウバエGGGGCCn Flyについて、詳細な解析を行った。異常伸長GGGGCCリピートRNAの神経系での発現により発生段階での致死、寿命短縮、複眼での発現により顕著な複眼変性を生じることが明らかとなった。一方、GGGGCC9リピートの発現ではこれらの症状は生じなかった。FISH解析により異常伸長GGGGCCリピートRNAの蓄積、免疫染色によりGGGGCCリピートRNAから翻訳されたと考えられる異常リピートペプチドの蓄積を認めた。2)GGGGCCリピート発現ALSモデルショウジョウバエ病態へのTDP-43/FUSの関与上記GGGGCCn FlyとTDP-43/FUSなどRNA結合蛋白質を発現するショウジョウバエとの遺伝学的交配を行った結果、上記の表現型に影響を与えるRNA結合蛋白質を同定した。以上の結果から、本研究で樹立した異常伸長GGGGCCリピート発現ショウジョウバエは新規ALSモデルとして有用であり、さらに異常RNAとRNA結合蛋白質による神経毒性が関連してALS発症に寄与する可能性が示唆された。
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