研究課題
これまで我々は、肥満症モデルマウスを用いた遺伝学的解析により、新たな脂肪蓄積遺伝子ALK7を同定し、ALK7が過栄養状態において活性化し、脂肪分解酵素リパーゼ遺伝子の発現を抑制することにより、余分なエネルギーを脂肪細胞に蓄積させる作用があることを見出した。そこで本研究では、TGFβ受容体ファミリーの一つであるALK7の未知リガンドの探索を行い、このシグナル系が肥満症の成因や病態生理にどのように関わるかを解析する。前年度の研究により、高脂肪食負荷および肥満状態において発現の誘導されるTGFβ受容体リガンド・ファミリーのスクリーニングを終え、候補因子を4種に絞り込んだ。また、これらが脂肪組織中の脂肪細胞やマクロファージに発現していることを見出したが、表面マーカーなどにより細胞分離法を用いて、さらに発現細胞の種類を限定した。実際にこれらのリガンドのリコンビナント・タンパク質が、細胞レベルでALK7を介する生物学的作用を有するかを調べるために次の実験を行った。シグナル下流因子SMADの結合配列直下にルシフェラーゼ遺伝子を発現させた293細胞において、3種のリガンド・タンパク質が、ALK7受容体とCripto共受容体の発現下でのみ、ルシフェラーゼ遺伝子の発現を促進することがわかった。また、これらのリガンド・タンパク質が、野生型およびALK7変異マウスより単離した成熟脂肪細胞でリパーゼの発現抑制を引き起こすかを調べたところ、少なくとも1種のリガンド・タンパク質がALK7依存性に抑制することを見出した。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Adipocyte
巻: 2 ページ: 246-250
10.4161/adip.24974
Endocrinology
巻: 154 ページ: 3577-3588
10.1210/en.2013-1203
http://molend.showa.gunma-u.ac.jp/