褐色脂肪組織は体温維持に重要な役割を果たし、その機能は交感神経系や甲状腺ホルモンにより制御されることが知られていた。一方、我々は、血糖値上昇作用を主な生理作用とするグルカゴンが、アミノ酸代謝やニコチンアミド代謝制御においても重要な役割を果たすことを明らかとしてきた。本研究ではグルカゴン遺伝子欠損動物が寒冷不耐性を示す可能性に着目して、その褐色脂肪の機能を解析した。グルカゴン欠損動物の褐色脂肪では熱産生に関わる遺伝子群の発現が低下し、グルカゴン投与により遺伝子発現・熱産生能ともに回復した。この制御にはFGF21が関与する可能性が高いと考えられた。
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