研究課題/領域番号 |
24659453
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
横尾 友隆 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (80400688)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 糖尿病 |
研究概要 |
現在世界中で急増している糖尿病は、絶対的、相対的に膵β細胞の機能または細胞数の不足によって起こる。我々が独自に同定した新規消化管ホルモンIBCAP (Intestine-derived Beta-Cell Augmenting Promoter) は機能として膵臓β細胞増殖促進などインクレチン様作用を持つことをこれまでに明らかにしてきた。そのため、IBCAPは糖尿病の治療標的となり得る可能性が考えられ、遺伝子治療、膵臓再生医療への応用も含め、特に1型糖尿病の治療薬になり得る可能性があり期待される。そこで本研究では、このIBCAPによる膵β細胞増殖および分化に関わるメカニズムを解明し、将来の臨床応用へ向けIBCAPを基盤とした膵β細胞再生医療への応用を目指すことを目的とした。 まず、膵β細胞増殖については、今回、IBCAPによる膵β細胞増殖効果について解析し、細胞増殖を指標とした新しい簡便なIBCAPの評価系を開発した。 次に、アデノウイルスを用いたIBCAP強制発現マウスモデルの表現型を解析したところ、肝臓にインスリン陽性細胞を認めた。そのために、IBCAPは膵β細胞の分化誘導あるいはTransdifferentiationに何らかの関連を持つことが強く示唆された。今後、機能的なβ細胞か否かについては検討が必要である。また、現在、ヒトiPS細胞あるいは膵前駆細胞から膵β細胞への分化誘導にIBCAPが関与するかについて検討を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IBCAP強制発現によって肝臓中にインスリン陽性細胞が出現することを確認し、特許出願を行った。その他、IBCAPを用いたヒトiPS細胞からの膵β細胞への分化誘導効率についてや膵β細胞の増殖シグナルについて明らかにしつつある。以上のことからも、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者はあらゆる研究において連携研究者と協力してグループで常時研究結果を元に討論し、方向性や研究方法の改善を図りながらIBCAPの機能解析を進める。また、研究代表者は適宜、学会・セミナー等で情報収集し、研究を進める。 IBCAPは、新しい消化管特異的な分泌因子であり、これまでに明らかとなっているホルモンとの相同性は見られていないため、その機能を明らかにすることは、困難を伴い、計画通りに進まない可能性も考えられる。しかしながら、本研究の中で並行して行っている、基礎から応用への研究で得られる新たな知見を参考にしながら、地道に研究を進め、検討を進めていくほかないと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の結果に基づき、引き続き、重点的に以下の研究計画を実施し、IBCAPを標的とした糖尿病治療薬の創薬や膵β細胞への再生医療などの応用へ向けての検討を行う。 (1) IBCAPを用いた膵β細胞分化誘導法の開発 ; IBCAPは消化管特異的に発現し、標的臓器としては現在のところ膵β細胞のみである。このIBCAPは膵β細胞の発生や分化に大いに関連がある可能性が考えられるため、本研究ではIBCAPの作用により膵β細胞への分化誘導効率が促進されるかについて検討を行う。具体的には、ヒトiPS細胞から膵β細胞に分化誘導する際にIBCAPの添加効果により、誘導効率があがるかどうかについて検討する。指標としては時間短縮あるいは、グルコース応答性などの質の向上を確認する予定である。 (2) IBCAPを用いた糖尿病に対する遺伝子治療への応用 ; これまでにTgマウスやアデノウイルスベクターによるIBCAPを強制発現させたマウスでは、膵臓ラ氏島の増殖や保護作用など形態学変化を起こすことを明らかにしてきた。また、予備検討ではSTZ投与糖尿病モデルマウスにアデノウイルスでIBCAPを強制発現させると血糖コントロールが改善する結果を得ている。そこで、本計画ではアデノウイルスベクターなどのウイルスベクターを用いて、動物実験によるin vivoの系で糖尿病治療効果が得られるかどうかについて検討を行う。具体的には血糖コントロールおよび膵β細胞の増殖について検討する。 本年度は成果発表として、国内学会(日本内分泌学会、日本糖尿病学会等)を予定している。 〔連携研究者〕埼玉医科大学・医学部・教授; 岡崎 康司(バイオインフォマティクス解析)、埼玉医科大学・医学部・客員准教授; 豊島 秀男(膵臓β細胞増殖および糖尿病の評価)
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