研究課題
平成25年度は、我々はマルチカラーFACSを用いて純化したCD5+CD19+ CLL細胞と、CD3+T細胞をCLL症例(n=5)より純化し、次世代シーケンサーを用いて、全エキソンシーケンスを行った。CLL症例特異的な体細胞変異を各症例毎に同定した。同定した体細胞変異特的な遺伝子変異を検出するprimerを作成した。これらのprimerを用いて、造血幹細胞分画における体細胞変異の有無を検索した。最初に、骨髄サンプルが解析可能なCLL症例において、マルチカラーFACSを用いて純化したCD34+幹細胞分画から、gDNAを分離し、上述の変異特異的なPCR primerを用いてPCRを行い、ampliconを作成した。幹細胞分画においては遺伝子変異を有する幹細胞の割合が不明であり、mutant allele frequencyは低い事も十分に予想されたために、我々は次世代シーケンサーによるultra-deep sequenceをampliconに対して施行し、CD34+幹細胞分画に獲得されている可能性のある遺伝子変異群を症例毎にスクリーニングした。mutant allel frequencyのcut offを設定し、cut off値以上のmutant allele frequencyを有する体細胞変異がultra-deep sequenceの結果、1-4/症例に同定された。これらのデータはいくつかのCLL特異的な遺伝子変異がすでに造血幹細胞レベルで獲得されていることを示しており、現在ではより直接的な評価を行うべく実験を進めている。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は、次世代シーケンサーによる体細胞変異の同定と、変異特異的なamplicon sequenceの系を樹立した。その結果、症例毎にCD34+幹細胞分画において、CLL発症に関与する遺伝子変異群がすでに獲得されていることを見出した。免疫不全マウスへの移植実験系は、使用可能なサンプル数が限られており、シーケンスによる遺伝子変異の存在の確認実験を優先させたために、現時点では多数は施行できていないが、引き続き症例の蓄積をはかり研究を進める。
上述のスクリーニングの結果、CD34+造血幹細胞分画に獲得されている体細胞変異群の解析をsingle cellレベルで証明する。これらの遺伝子変異の存在をsingle cell levelで直接確認するために、FACSを用いてCD34+CD38-造血幹細胞およびCD34+CD38+前駆細胞群をsingle cell sortし、single cellよりgDNAを抽出増幅し、上述のスクリーニング陽性の遺伝子変異の有無を検索している。さらにCD34+CD19-の造血幹細胞、前駆細胞をメチルセルロース上にsingle cell sortingを行い、single cell由来のmyeloid colonyをピックアップし、gDNAを抽出し変異を有する造血幹細胞の多分化能を検討している。さらに免疫不全マウスへの異種移植系を組み合わせ、遺伝子変異を獲得した造血幹細胞がin vivoでどのような分化を示すのかを検討する。
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